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土木
2020/06/10

大規模な河岸崩壊を8日で仮復旧した施工事例

高谷裕美
MakMaxプラス

日本では毎年のように台風や豪雨による水害が報告されています。岡山県倉敷市真備町も、2018年の「西日本豪雨」によって1級河川である末政川の両岸が崩壊し、大きな被害を受けました。

しかし、この大規模な被害に対する仮復旧工事は、『コンクリートキャンバス』でわずか8日間で完了しました。

末政川の迅速な仮復旧はいかにして実現したのか。本記事で詳しくご紹介させていただきます。行政の土木事業担当の方や、交通関係事業者の方のご参考になれば幸いです。

*西日本豪雨とは
2018年6月28日から7月8日にかけて、台風7号と梅雨前線等の影響によって発生した集中豪雨のことで、正式には『平成30年7月豪雨』と呼ばれています。全国で記録的な大雨となり、西日本を中心に広い範囲で被害をもたらしました。

 

 

岡山県倉敷市真備町の被害

岡山県では河川の氾濫や堤防の決壊による浸水や土砂災害が相次ぎ、県内の水害として戦後最悪の規模となりました。

とくに倉敷市真備町の被害は大きく、小田川で2箇所・高馬川で2箇所・末政川で3箇所・真谷川で1箇所の計8箇所で堤防の決壊が確認されたほか、小田川では6箇所での法面崩落も確認されました。

 

末政川の復旧と課題

真備町を流れる高梁川水系の1級河川、末政川では、右岸堤防・左岸堤防の両方が決壊し、付近に浸水して甚大な被害が出ていました。

被害を最小限に抑えるには約2週間で仮復旧を完了させる必要がありましたが、それには以下のような課題がありました。

  • 付近一帯が被災地であり、迅速に対応できる余力のある施工業者がいない。
  • 被災より生コンクリートミキサー車の手配ができない。
  • ポンプ車などの重機を固定設置するスペースが確保できない。
  • 当初計画の布製型枠によるコンクリート面構築では1ヵ月以上かかるので間に合わない。
  • コンクリート打設に必要な特殊施工を行える作業員を確保できない。

これらの課題を解決し、短工期での仮復旧を実現したのが、水をかけるだけでコンクリート面をつくる”膜”、『コンクリートキャンバス』でした。

 

『コンクリートキャンバス』とは

コンクリートキャンバスは『コンクリートと布地と遮水材の複合材料』です。特殊配合のドライコンクリートを繊維マトリクス織編物(表面)とPVCシート(裏面)で挟んだ構造をしています。

厚さ5mm~13mmの薄い布地を地面に敷設して水をかけるだけで、コンクリート面をつくることができ、散水は海水/淡水を問わず、水中でも使用できます。



コンクリートキャンバスの概要を2分間にまとめた動画があります。

 

コンクリートキャンバスの4つの特徴と用途

コンクリートキャンバスには、高い施工性・耐久性・環境性・耐火性という4つの特徴があり、さまざまな用途で活用されています。

 

特徴1:高い施工性

コンクリート面をつくるのに必要なのは、コンクリートキャンバスと水だけです。 布地をロール状にした状態で運搬が可能なためミキサー車などの大型重機も必要なく、計量や練混ぜも不要で水量過剰となる心配もないため特殊な専門技能を持った作業員も必要ありません。

 

特徴2:耐久性

コンクリートキャンバスの材料は耐化学性と耐候性を有しており、紫外線による劣化もありません。また、一般的なコンクリートの約2倍の耐摩耗性を持ち、英国の促進劣化試験では、50年以上の寿命を示しました。

 

特徴3:環境性

コンクリートキャンバスはすり減り量が少ないという特徴があり、CO2の削減に貢献し、高い環境性を発揮します。

 

特徴4:防火性

コンクリートキャンバスは優れた耐熱性能を持ち、用途によっては防火層としても使用することができます。 炎が表面にひろがらないため、煙の発生を低く抑えると共に、有害ガスの放出を最小限に抑えます。

 

コンクリートキャンバスの主な用途

  • 災害復旧(土のう被覆)
  • 侵食防止(表面保護)
  • 水路維持・拡張
  • 水路工
  • 防草
  • 法面保護
  • コンクリート補修
  • 吐出口/余水吐け
  • じゃかご保護

 

末政川の堤防決壊応急復旧における事例

 

概要

2018年の「西日本豪雨」で被害を受けた岡山県倉敷市の末政川の復旧工事にコンクリートキャンバスが用いられました。

施主 岡山県備中県民局
施工場所 岡山県倉敷市真備町有井
現場状況 土のう被覆
規模 4,500平米
着工 2018年7月26日
竣工 2018年8月3日(工期約8日間)

岡山県庁から、弊社に相談が寄せられたのは、2018年7月18日でした。上述の課題から、従来のコンクリート打設工事ではなく『コンクリートキャンバス』の採用が即決されました。地域の施工事業社をバックアップするために弊社の担当事業部のスタッフも総出で工事にあたり、7月26日には着工。その後わずか8日間で、必要な仮復旧工事が完了しました。

 

コンクリートキャンバスが即決された理由

以下の理由から、従来のコンクリート補修工事に代わってコンクリートキャンバスによる施工が即決されました。

 

部分施工ができる

堤防の補修・かさ上げのベースとなる大型土嚢は当時施工中であり、この作業の完了を待つ時間的余裕はありませんでした。コンクリートキャンバスなら部分施工が可能で土嚢を積みながら被覆させて硬化できるため、土嚢設置と平行して作業を進めることができました。

 

一般作業員でも対応できる

布製型枠を用いたコンクリート打設工事を行う場合、専門的な知識と経験を持った特殊作業員が必要になります。人材の手配が難しかった被災地において、一般作業員でも施工できることからコンクリートキャンバスでの対応が選択されました。

 

大型重機不要で作業できる

コンクリートの打設に必要な大型重機を固定するスペースの確保が難しかった被害現場においても、コンクリートキャンバスなら人の手でも運搬・敷設が可能であり、柔軟な対応を実現することができました。

 

現地で採寸・施工が可能

従来のコンクリート打設工事に用いる布製型枠は事前の採寸が必要でしたが、コンクリートキャンバスは現地で敷設しながら任意のサイズに裁断が可能であったため、迅速に施工することができました。

 

仮復旧後~本復旧まで

仮復旧の翌年、仮復旧した施工区間の上流端と下流端の補強工事として、弊社の布製型枠工法(タコム)を受注しました。

最終的に、末政川左岸の40mと110m区間、ならびに右岸の150m区間の3カ所において堤防は0.7~1mのかさ上げと6~10mの拡幅がなされ、2019年09月06日に、県管理の他の河川を含むすべての改良復旧工事が完了しました。

*仮復旧工事でのクオリティー・スピード感を評価いただき、本復旧工事の追加発注をいただきました。

その他の実績について下記の記事をご覧ください。
【水害復旧事例】水をかけるだけでコンクリート面をつくる”膜”とは

 

まとめ

台風や豪雨による水害・災害の応急復旧工事には、コンクリートによる補修が必要となるケースが少なくありません。しかしながら、コンクリートの打設工事には次のような課題があります。

  • 生コンを供給するためのプラントが必要
  • 施工用の資機材(重機含む)が必要
  • 型枠工、鉄筋工など熟練した技能者が必要

これらの課題を解決して柔軟で迅速な災害復旧工事を実現する『コンクリートキャンバス』を、ぜひご検討ください。

コンクリートキャンバスについての詳しい資料請求や問い合わせなどは、以下のリンクからご確認いただけます。

>>太陽工業株式会社「コンクリートキャンバス」

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