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防災
2020/04/06

医療従事者が押さえるべき「医療用陰圧テント」の機能と目的

高谷裕美
MakMaxプラス

新型コロナウイルスなどの感染症に対応するために、医療現場における陰圧テントの活用が注目を集めています。

感染症対策の必須設備ともいえる医療用陰圧テントについて、その機能や目的を詳しくご説明し、その有用性の理解を促進すると共に、具体的な商品もここでご案内します。

 

「陰圧」とは

陰圧テント、陰圧室など、「陰圧」という言葉を目や耳にする機会が増えてきました。

陰圧とは、物体の内部の圧力が外部より低い状態のことを指します。陰圧室や陰圧テントとは内部の空気圧を外部より低く調整している施設のことです。

空気は圧力の高いほうから低いほうに流れるため、陰圧室内の空気は外部に漏れません。よって感染源の拡散を防ぐ役割を果たします。


(陰圧のイメージ:一般社団法人 日本空調衛生工事業協会様ウェブサイトより)

確実な陰圧隔離を行うためには「陰圧室」が必要

一般社団法人 日本感染症学会によると、理想的な陰圧隔離には以下のような設備が必要です。

(以下引用)
確実な陰圧隔離を行うためには、前室を設け、病室と前室は単独の給排気を行い、廊下と前室、前室と病室の間に圧差が生じるようにして、病室の空気が廊下に流出しないようにしなくてはなりません。(中略)病室・前室の病原微生物、塵埃の数を減らすためには室内空気の一定回数以上の換気が必要となります。CDCが推奨している99%以上の換気を短時間で行うためには、室内の換気回数は12回/時間以上に設定されていることが望ましいとされています。また空気の再循環を行う場合、全換気回数のうち2回/時間以上は外気による換気を行う必要があります。再循環を行う場合には、病室と前室の換気は独立したものとし、空調機にはHEPAフィルターの装着が必要です。なお、CDCのガイドラインでは病室内空気圧の圧差は2.5パスカル以上[0.01インチ水位]に維持することが推奨されています。
(引用終わり)

このような基準を満たす陰圧設備として「陰圧病室」を施設内に備える病院もあります。

これらの病院は感染症法という法律に基づき、「指定医療機関」として全国に約400カ所に存在しますが、どこの病院にも陰圧病室があるわけではありません。

陰圧病室を設けることは確実性の高い感染症対策にはなりますが、一方で莫大な費用がかかるうえ、本格的な工事等を要し、実装までに時間がかかります。そこで現在特に注目されているのが、低コストで素早く設置することができる、医療用陰圧テントです。

医療用陰圧テントとは、どのようなものなのでしょうか。

 

エアーテントでの外来受付

パンデミックなどの感染拡大時には、病院などの施設は感染者と感染しやすい状態の人が集中しますので、感染を防ぐためには診察時の動線を隔てる必要があります。

建物の壁など構造によって動線を分けることはコスト面で容易ではなく、一方で、簡易的なパーテーションを立てる程度では感染リスクを十分にコントロールできません。

そこで、任意の場所、例えば病棟外に簡単に素早く設置できる「エアーテント」を用いて動線を分ける方法が注目されています。

テント自体が密閉空間として一定の感染拡大を防止する効果があることに加え、陰圧機能を持たせることによって、大きな効果が期待できます。

 

ドライブスルー型(エアーテント)の外来受付

さらに確実に動線を分ける方法として、同じくエアーテントを用いて、患者などの来院者が車から降りることなく、乗ったまま受診できる「ドライブスルー型」の外来受付を設ける方法もあります。


2020年3月現在、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、愛知県や静岡県、新潟県をはじめとしてPCR検査の体制拡充が検討されています。ドライブスルー型のメリットとエアーテントが用いられる理由をまとめます。 

検査時のリスクと手間

まず、感染が疑われる方の外来受診時には、院内感染を防ぐため消毒と着替えという作業が伴います。 

  • 消毒…(病院入口~待機場~検査室内) 
  • 医師の防護服の着替え…1人分の採取ごとに医師が防護服を着替える場合、感染しないよう慎重に脱ぐ必要があります。着替えは1人分の採取につき1時間に及ぶこともあります。 

 

ドライブスルー型でリスクと手間を軽減

一方、ドライブスルー型であれば上記作業の手間と時間を短縮できます。

  • 受診者が院内に入らないため、消毒箇所大幅に限定でき、時間短縮になります。 
  • 診察者手袋の交換のみで済む可能性が高くなります。防護服の着替えが不要になれば、診察時間と医師の精神的プレッシャーの低減できます。 
  • そもそも受診不特定多数と接触しないで済みます。

(エアーテントのメリット)
  • 全天候での利用が可能です。 
  • 受診者車両のプライバシー確保できます。 
  • ドライブスルー型検査に対応したエアーテント設置時間はわずか10分です。必要な時に準備が容易です。 

また、海外ではドライブスルーが検査以外にも活用されている実例があります。新型コロナウイルスによる感染拡大を防ぐために幼稚園や小中高の新学期開始を延期した結果、教科書を受け取っていない新入生が、教科書がないまま自宅で自習をしないとならないという問題が発生しました。そこで、対面接触による感染拡大を回避するためにドライブスルー方式を利用して新入生に教科書を渡す取組みがなされました。

 

ーー緊急医療の現場などに最適な医療用エアーテントについて詳しくは、以下の記事からご確認いただけます。
災害現場での緊急医療の拠点に最適な医療エアーテント「マク・クイックシェルター」

 

陰圧テントの仕組みと機能

新型コロナウイルスの拡大防止にエアーテントと、それに陰圧設備を付与した陰圧テントが有効であることが分かりました。

次は、陰圧テントがどのような仕組みで機能しているかを説明します。

陰圧テントの構造

陰圧テントでは、エアーテントに専用の接続部が設けられており、そこに「陰圧フィルターシステム」という装置が設置されています。テント内部の空気圧を下げて保つことで陰圧室を作り出す設備となっています。

テント内で空気の流れを作り、換気を行なうので、診療を行なう医療従事者の方々が感染しにくい環境を作ります。外観は、このようになります。

(陰圧テントの外観)

陰圧テントの構造を図示したものがこちらです。

陰圧フィルターシステムについては、HEPAフィルターでの集塵効率が0.3μm以上粒子 99.99%となっており、CDC(米国疾病予防管理センター)ガイドラインに準拠しています。

(陰圧フィルターシステム:EXU03-13)

陰圧装置仕様(EXU03-13)
サイズ  幅 700 x 奥行 550 x 高さ900 (mm)
重量  約60kg
集塵効率  HEPAフィルター集塵効率 0.3μm以上粒子 99.99%
処理風量  13m3/min
気圧差  10Pa
換気回数 1時間12回以上
特徴   陽圧・陰圧両方に使用可能
CDC(米国疾病予防管理センター)ガイドラインに準拠
工具不要でHEPAフィルターの交換が可能
オプションの紫外線殺菌装置も工具不要で取付可能

医療用陰圧テントの多様なオプションと機能性

医療用陰圧テントは、様々な環境で使用できるよう豊富なオプションがあります。夏季や冬季の設置、寒冷地などでの使用、強風対策など、その都度のニーズに合わせた幅広い適用が可能です。

  • 前室(患者待合スペース)
  • 冷暖房装置
  • ポータブルヒーター
  • 折り畳み式ベッド
  • ウォーターウエイト など

 

感染症対策における陰圧テントの3つの目的

なぜ、新型コロナウイルス対策に陰圧テントが注目されているのでしょうか。感染症の医療現場で陰圧室を作り出す目的は、大きく3つにまとめられます。

陰圧テントの目的1:専用の施設で感染拡大を防ぐ

医療用陰圧テントは、臨時に設置される施設です。例えば病院の場合、感染者以外の利用者と完全に隔離した別の動線や専用の診療スペースを設けることにより、患者同士の不要な接触を避け、院内感染等を防ぐことが期待できます。

陰圧テントの目的2:陰圧フィルターにより感染源の拡散を防ぐ

上述のとおり、陰圧テントはテント内を専用の装置で陰圧にすることで、テント内の空気が外に漏れないようになります。テント内の病原体が外部に漏れだすリスクが軽減されるため、医療従事者の二次感染を防ぐことにつながります。

陰圧テントの目的3:緊急時に素早く柔軟に設置

パンデミックなどの急激な大規模感染拡大の際には、専用施設の迅速な設置が期待されます。医療用陰圧テントは小型軽量で持ち運びも容易なため、平時にはコンパクトに収納しておきながら、有事の際には素早く取り出し、適切な場所に持ち運んで簡単に設置することができます。設置にかかる時間もわずか数分であるため、緊急性の高い現場において特に重宝されます。


コンパクトに収納

(電動ポンプ使用時)※MQ442A設営時

 

優れた医療用陰圧テント「マク・クイックシェルター」

2009年の新型インフルエンザ流行の際にも多数の導入実績があり、特に優れた機能を持つ医療用陰圧テントが、太陽工業株式会社の「マク・クイックシェルター」です。

マク・クイックシェルターは以下のような特徴を持ち、スピードとクオリティーの両方を求められる感染症対策の医療現場において高い機能性を発揮します。

  • 超短時間で立ち上げ可能:最短で約1分程度で立ち上がります。
  • 収納も迅速:立ち上げだけでなく、移動などのための収納も迅速です。5分程度で収納が完了します。
  • 少ない人数で設置できる:最少で大人2人いれば、設置・収納が可能です。
  • 優れた安定性:屋根膜とエアビーム(柱)が一体化しており、形状安定性に優れます。
  • 火災対策:膜材には防炎製品を使用しているため、高い防火性を誇ります。
  • 現場でメンテナンス可能:一般的なテントは破損すると工場に持ち込んで修理が必要ですが、マク・クイックシェルター現場で簡単にメンテナンス可能です。
  • 高い断熱性と対結露性:二重膜仕様の膜材なら、断熱性に優れるため冷暖房効率が高まる他、カビの発生原因になる結露も抑えることができます。

太陽工業株式会社:「マク・クイックシェルター」に関するお問い合わせはこちら。

 

まとめ

昨今注目が集まっている医療用陰圧テントについて目的と機能を紹介しました。感染症対策の医療現場において、以下の3つのニーズをお持ちの方は、医療用陰圧テントの導入をご検討ください。

  1. 専用の施設で感染拡大を防ぐ
  2. 陰圧フィルターにより感染源の拡散を防ぐ
  3. 緊急時に素早く柔軟に設置

この記事に記載のない詳細な情報についてご希望の方は、以下のウェブサイトから太陽工業株式会社に問い合わせることができます。

太陽工業株式会社:医療用陰圧テントについて問い合わせる。

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