TOP > MakMaxプラス > 天井 > 和室天井を含む様々な天井構造の仕組・種類の紹介と耐震性の考え方
天井
記事公開日:2019/08/09 最終更新日:2019/08/09

和室天井を含む様々な天井構造の仕組・種類の紹介と耐震性の考え方

高谷裕美
MakMaxプラス

「天井」について深く考える機会はあまりないかと思いますが、その奥は深く、様々な構造や機能などがあります。

特定天井、耐震天井、吊り天井、直天井───湿度・温度調整、防音、明るさの確保、ホコリの落下防止───。天井の構造について全体を理解し、安全で機能的な天井を実現できるよう、必要な知識を簡潔にまとめました。

 

おもな天井の構造:直天井と吊り天井

天井の構造には大きく分けて2つの種類があります。「直天井」と「吊り天井」です。それぞれの特徴についてご説明します。

直天井の特徴

屋根裏や、上階の床裏にあたる部分に直接天井材を取り付ける構造の天井です。メリットとしては、天井の高さを確保できる、一部の建物では工事費が抑えられる、耐震性が高いといった点が挙げられます。

一方、天井裏スペースがないために、防音材を仕込むスキマがなくて防音性が低くなったり、設備のメンテナンス性が下がったり、デザイン性が限られたりするなどのデメリットがあります。

吊り天井の特徴

屋根裏にあたる部分から金属のボルトなどで格子状の枠組みを吊り下げ、その表面に石膏などの天井ボードを取り付けて仕上げた構造の天井です。

出典:『国土交通省 建築物における天井脱落対策の全体像

天井裏に空間ができるため、照明や空調、水回りなどの設備スペースを確保することができます。機能性やメンテナンス性に優れるので、特に体育館などの大型の施設の多くで採用されています。

ただし、安全性には懸念が残る場合があります。

東日本大震災の際に天井ボードが落下するなどの被害が相次いだため、大型施設の吊り天井については、2014年に政府より耐震性について新たな基準を設けられ、「特定天井」として一定の安全性が求められるようになりました。

 

天井構造の種類

天井の構造はさらに細かく分類することができます。ここでは8種類をご紹介します。

格天井

書院造などの和風建築に用いられた天井の構造です。縁を格子状に縦横に組み合わせて正方形を構成します。

出典:『株式会社桑原建具工業 平格天井セット

二重折上げ格天井

同じく書院造の建物や仏堂に用いられる構造で、天井を支える支輪を湾曲させて一段高くし、そこからさらに一段高くしたところで格天井を構成します。

出典:『株式会社桑原建具工業 折上格天セット価格表

さお縁天井

屋根の梁の上に左右に支材を組み合わせて、野縁とさお縁で天井板を十字で挟むように取り付ける構造の天井です。

出典:『静岡新聞 マイベストプロ静岡 和室の天井に無垢板を貼る。いなご天井。竿縁天井。

打上げ天井

さお縁天井よりもさらに厚い板が使われた天井です。

出典:『小さなギャラリーの有る木の家 杉板の打ち上げ天井

ボード張り天井(クロス張り)

天井板を取り付ける細い横木である「野縁」と、それを支える野縁受けとを格子状に組み合わせて平面を構成し、そこに天井ボードを貼り付け、さらにクロスを貼って仕上げた天井です。

出典:『LIXIL 野縁受け

出典:『建築の仕事と納まり詳細と 石膏ボード+ビニルクロスの納まり

ボード張り天井(岩綿吸音板)

吸音、断熱、防火性に優れた不燃材である岩綿吸音板使用し、オフィスや店舗などによく用いられる構法で、上記のボード張り天井同様に格子を構成し、そこにロックウールの天井ボードを貼ります。

出典:『建築の仕事と納まり詳細と 岩綿吸音板の特徴と基本納まり

システム天井

特にオフィスや大型施設によく見られる天井で、天井裏に照明や配管、空調など多数の機能を持たせて、かつメンテナンス性を高めた構造です。

出典:『DAIKEN システム天井 クロスシリーズ グリッドタイプ

出典:『SOKEN inc. 軽鉄天井/システム天井

光天井

ガラスなどの透光性のある素材で天井面を広く覆った、意匠性の高い天井です。
博物館や美術館、大型の店舗などによくみられる構造で、明るさを多く取り込むことができます。

出典:『ABC紹介 光天井

 

気を付けたい耐震性

いずれの天井を検討する場合でも、特に注意したのは耐震性です。いかに機能性や意匠性に優れていても、災害時に危険が及ぶ心配があってはいけませんし、東日本大震災以降は、政府でも新たに耐震基準を定めて安全性を求められています。

吊り天井に該当する構造の天井においては、一定の条件を充たすものについて「特定天井」と定められ、特別な耐震安全性の確認が求められています。新築の建物はもちろん、既存の建物についても確認が必要です。

天井を検討する際には必ず知っておかなければならない特定天井について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

「特定天井」の基本を徹底解説、建築士が抑えるべきルートとは?!

関連記事

2021/01/14

見て体感!AR機能も搭載のECサイトが誕生

作成者 :
高谷裕美

コロナ禍でも必要な「防災・減災・感染症対策」製品をオンラインで理解~商談~購入までサポート 2021年1月14日 <報道用資料> 太陽工業株式会社 大型膜面構造物(テント構造物)や各種災害対応製品などを扱う太陽工業株式会社(東京本社:東京都世田谷区、大阪本社:大阪市淀川区、社長:荒木秀文)は、この度、コロナ禍でも緊急性や社会ニーズの高い「防災・減災・感染症対策」製品を取り揃え、AR(拡張現実)やオ...


もっと読む
2020/09/04

土嚢の中身は砂20kg!?素人でもできる土嚢の正しい作り方・積み方

作成者 :
高谷裕美

日本は、三日に一度雨が降る多雨の国です。台風もあります。 最近ではゲリラ豪雨が頻発し、いつどこで浸水などの水害が発生するかわかりません。 浸水対策は他人事ではなく、あなたも一定の知識を持って備える必要があります。 一般的な浸水対策としてまず思い浮かぶのが、「土嚢」を使った止水でしょう。 ニュース映像などでもよく見かける土嚢ですが、あなたは土嚢についてどれくらい知っているでしょうか?緊急時に、十分な...


もっと読む
2020/04/28

避難所や病院でのスペース対策!屋内の空間を区切り、安心・安全を実現する「屋内制御マク」

作成者 :
ミライ工事

新型コロナウイルスなどの感染症に対応するため、動線分離する「エアーテント」の設置や、それに陰圧設備を付与した陰圧テントの設置など、病棟外に簡単に素早く設置できる様々なテントが注目されています。 一方で、今後、経済活動を再開していくにあたり、医療施設に加えて、 工場など大きな空間内を、より簡単に仕切ることによって 働く人の安全・安心を守る場を確保することも重要です。 そこで活用いただきたいのが、空間...


もっと読む
2019/12/04

法面保護工の種類と新しい手法│重機・専門技能不要の低コスト工法とは

作成者 :
高谷裕美

「法面」とは切土または盛土によってつくられた人工的傾斜面のことです。山がちで雨の多い日本において常に不安定かつ脆弱性を持ちます。 法面は崩壊リスクと隣り合わせで、その表面の浸食や、崩壊を抑止するために法面の保護工事や補強工事が必要です。しかし、その工法はそれぞれ一長一短があります。 今回はさまざまな法面保護工事の施工方法と、新しい解決策についてご紹介します。 【目次】 1 法面保護工とは 2 法面...


もっと読む
2019/08/09

和室天井を含む様々な天井構造の仕組・種類の紹介と耐震性の考え方

作成者 :
高谷裕美

「天井」について深く考える機会はあまりないかと思いますが、その奥は深く、様々な構造や機能などがあります。 特定天井、耐震天井、吊り天井、直天井───湿度・温度調整、防音、明るさの確保、ホコリの落下防止───。天井の構造について全体を理解し、安全で機能的な天井を実現できるよう、必要な知識を簡潔にまとめました。 【目次】 1 おもな天井の構造:直天井と吊り天井 2 天井構造の種類 3 気を付けたい耐震...


もっと読む
カテゴリ :
天井
タグ :
人気のある記事 膜天井