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危険物倉庫の建設ガイド|法令から必要条件、進め方、費用を抑える手段まですべて解説

危険物倉庫の建設には厳しい法令や条件が求められます。正しく理解して成功させるために、必要な条件から、具体的な流れ、業者選びのコツまで解説します。

近年、危険物を適切に保管・管理する危険物倉庫へのニーズが高まっています。しかし、建設にあたっては、厳しい法令順守や条件が求められるため、二の足を踏む事業者も少なくありません。建設を進める際は、経験豊富で信頼できる業者選びが肝心です。法令に詳しく、豊富な実績を持つ会社を選ぶことで、スムーズな建設と安全運用の実現につながるでしょう。 

本記事では、危険物倉庫の基礎知識から建設の流れ、費用を抑えるコツ、業者の選び方まで幅広く解説します。

危険物倉庫とは?

危険物倉庫とは、消防法で定められた、火災発生や拡大のリスクが高い物質を保管する専用施設です。引火性や発火性のある物質、燃焼を促進させる物質などを安全に保管することを目的に設計されています。具体的には、酸化性固体、可燃性固体、自然発火性物質、引火性液体、自己反応性物質、酸化性液体などが危険物に該当します。身近な例では、車のガソリンや灯油、アルコール消毒液なども含まれます。 
毒薬や劇物の保管場所とは区別されます。あくまで火災リスクの高い物質を対象としていることが特徴と言えるでしょう。これらの施設は、厳格な安全基準に則って管理・運営されています。適切な保管と管理によって、火災事故の予防と被害の拡大防止に大きく貢献しているのです。事業者は、法令を順守し、適切な危険物倉庫の設置・運用を図ることが求められます。 

 

危険物施設の種類

危険物倉庫は、消防法で定められた危険物を保管・管理する専用施設ですが、その用途に応じて「製造所」「貯蔵所」「取扱所」の3種類に分けられます。 
まず「製造所」は、工場のように危険物を製造する施設を指します。建物の構造や設備、配管などが消防法で厳しく規制されており、可燃性ガスや粉塵の除去施設も規制対象です。次に「貯蔵所」は、危険物を安全に保管するための施設です。屋内外タンク貯蔵所、移動タンク貯蔵所、地下タンク貯蔵所、簡易タンク貯蔵所など様々な形態がありますが、一般的に「危険物倉庫」と呼ばれるものは屋内貯蔵所のことを指します。最後に「取扱所」は、製造には携わらず危険物を取り扱う施設で、ガソリンスタンドやボイラー室などが該当します。ここでは危険物の消費や詰替えなどの作業が行われます。

危険物倉庫の建設に必要な基準と条件

危険物倉庫の建設には厳しい基準と条件が求められます。すべてを満たした上で進めていく必要があります。それぞれ詳しく確認していきましょう。 

距離の基準 

危険物倉庫の建設には、火災や爆発事故が周辺に影響を及ぼさないための「保安距離」の確保が法令で義務付けられています。例えば、住居なら10m以上、学校などは30m以上、重要文化財は50m以上と定められています。

また、倉庫の周囲には「保有空地」の設置も求められます。その幅は、倉庫の構造や危険物の貯蔵量によって異なります。

 

壁・柱および床が耐火構造の場合 

区分  空地の幅 
指定数量の倍数5以下  0m 
指定数量の倍数5以上10以下  1m以上 
指定数量の倍数10以上20以下  2m以上 
指定数量の倍数20以上150以下  3m以上 
指定数量の倍数50以上200以下  5m以上 
指定数量の倍数200以上  10m以上 

 

壁・柱および床が耐火構造以外の場合 

区分  空地の幅 
指定数量の倍数5以下  0.5m以上 
指定数量の倍数5以上10以下  1.5m以上 
指定数量の倍数10以上20以下  3m以上 
指定数量の倍数20以上150以下  5m以上 
指定数量の倍数50以上200以下  10m以上 
指定数量の倍数200以上  15m以上 

 

この距離基準は、危険物倉庫から生じ得る災害から人命や財産を守るために設けられています。倉庫の建設計画では、これらの法令を遵守することが不可欠です。適切な保安距離と保有空地の確保は、万が一の事故の際にも被害を最小限に抑える上で重要な役割を果たします。事業者は、倉庫の設計段階からこれらの基準を考慮し、安全性の高い施設づくりを目指すことが求められています。 

 

規模の基準 

危険物倉庫の規模には、法令による明確な基準が設けられています。原則として、軒高は6m未満の平屋建てとし、床面積は1,000平方メートル以下に制限されます。ただし、第2類および第4類の危険物については、一定の条件の下で軒高を20m未満まで拡大することが認められています。その場合でも、延床面積は1,000平米以下に抑え、保有空地の確保も求められます。 

 

構造の基準 

危険物倉庫の構造には、火災や爆発のリスクを最小限に抑えるための厳しい基準が設けられています。まず、壁・柱・床は耐火構造として、屋根は不燃材料で造ることが求められます。延焼防止のため、外壁には出入り口以外の開口部を設けず、窓や出入り口には網入りガラスを用いるなどの規定もあります。

また、禁水性物品や液状危険物を扱う場合は、床面を水が侵入・浸透しない構造にし、必要に応じて貯留設備を設けることが義務付けられています。加えて、採光・照明・換気のための設備の整備も欠かせません。これらの設備は、作業環境の安全性を確保する上で重要な役割を果たします。

これらの構造基準は、消防法などの法令で定められていますが、自治体によってはさらに詳細な条例が設けられている場合もあります。したがって、危険物倉庫の建設に当たっては、国の法令だけでなく、地域の条例も確認し、それらを遵守することが不可欠です。 

 

放爆構造について 

危険物倉庫の構造基準の中でも特筆すべきなのが「放爆構造」です。これは、万が一爆発が発生した際に、爆風を屋根から逃がすための消防法に基づく設計概念です。放爆構造は、風船が弾ける瞬間に空気が四方八方に逃げるようなイメージに例えることができます。爆発時の衝撃を効果的に分散させ、被害を最小限に抑えることを目的としています。この構造を採用する際は、所轄の消防署との綿密な協議が不可欠です。安全性の高い倉庫建設のために、必要な要件を満たしましょう。 

 

土地の条件 

危険物倉庫の建設には、土地の用途地域に応じた建設の可否と貯蔵制限が定められています。以下の表は、各用途地域における建設の可否をまとめたものです。

 

用途地域  用途地域  建設可否 
市計画区域、市街化区域内  第一種低層住居専用地域  貯蔵不可 
第二種低層専用地域 
第一種中高層住居専用地域 
第二種中高層住居専用地域  指定数量の5倍未満 
第一種住居地域 
第二種住居地域 
準住居地域 
近隣商業地域  指定数量の10倍未満 
商業地域 
準工業地域  指定数量の50倍未満 
工業地域  貯蔵制限なし 
工業専用地域 
その他  都市計画区域内の非線引き区域 
臨港地区 

※商港区・工業港区・特殊物資港区・マリーナ港区・保安港区・修景厚生港区などがある 

都市計画区域外 

 

これらの規制は、危険物の安全な保管と周囲環境への影響最小化を目的としています。建設前には、用途地域と貯蔵量制限を綿密に確認し、基準を遵守することが不可欠です。
 

 消火設備の条件 

危険物倉庫に必要とされる消火設備は、第1種から第5種まで分類され、それぞれに特定の設備が割り当てられています。第1種消火設備には屋内外消火栓が、第2種にはスプリンクラー設備が含まれます。多様な火災リスクに対応するため、第3種消火設備には水噴霧消火設備、泡消火設備、二酸化炭素消火設備、ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備、水蒸気消火設備などが用意されています。

また、第4種と第5種消火設備では、大型消火器と小型消火器がそれぞれ使用され、倉庫内の火災リスクに幅広く対応できるよう備えています。

最終的に必要とされる消火設備の条件は、危険物倉庫の状態によって異なります。条件が複雑ですので、詳細については、日本消火設備装置工業会が公表している早見表をご確認ください。なお、自社だけで判断が難しい場合には、専門家の助言も得ながら、適切な対策を講じていきましょう。

リンク)危険物施設(法第 10 条関係)における消火設備の設置対象物早見表(1) 

 危険物倉庫を建設する流れ

危険物倉庫の建設には、一般的な倉庫とは異なる手順が求められます。引火性や爆発性の高い「危険物」を保管するため、消防庁との協議が不可欠です。安全基準を満たすための手続きが求められます。それでは、危険物倉庫を建設する流れについて詳しく見ていきましょう。 

 

1.消防署との事前協議 

まず、最寄りの消防署予防課との事前協議が必要です。この協議では、施設の設計や消防設備の詳細について話し合い、安全規制や指針を理解することが求められます。協議内容は議事録を作成して保管しておきましょう。計画を進める上で必要な指導やアドバイスを明確に記録しておくことが重要です。

事前協議は、適切な安全対策を講じるための第一歩と言えるでしょう。専門家の意見を取り入れながら、万全の準備を整えることが、スムーズな建設につながります。 

 

2.市区町村への建築許可申請 

危険物倉庫の建設には、市区町村からの設置許可が必要です。この許可申請には、建設計画や施設の設計図、扱う危険物の種類と数量、安全対策に関する詳細情報の提出が求められます。地元行政機関との密接な連携と、関連法規に基づく厳格な手続きが不可欠です。

申請書類の作成には、消防署との事前協議で得た情報が役立ちます。適切な安全対策を示し、法令順守の姿勢を明確に伝えることが、許可取得につながるでしょう。行政機関との連携を深め、必要書類を丁寧に準備することが、スムーズな建設のカギを握ります。 

 

3.建設の着工 

設置許可証が無事発行されましたら、いよいよ危険物倉庫の着工です。設計図と安全規制に基づいて、万全の体制で建設を進めましょう。 

 

4.中間検査の実施 

危険物倉庫の建設においては、基礎工事の完了後に中間検査が行われます。これは建物の基礎部分の安全性を確認するための重要な作業です。中間検査では、消防機関やほかの関連機関が安全基準への適合を確認して、基準を満たしていれば「中間検査合格証」が交付されます。

交付後、建設工事はより本格的に進んでいきます。中間検査は、危険物倉庫の安全性を担保する上で欠かせないプロセスと言えるでしょう。事業者は、検査に向けた綿密な準備と、基準の確実な順守が求められます。 

 

5.完成検査の申請 

危険物倉庫の建設工事が完了したら、建主は4日以内に地方自治体に完成検査の申請を行う義務があります。この申請には、倉庫の完成図面や安全対策の詳細資料が必要となるため、あらかじめ準備しておくことが大切です。

未施工部分がある状態では検査申請ができず、改修や増改築、用途変更も受けられないので注意が必要です。すべての工程が終了してから申請を行うことが重要です。完成検査は、危険物倉庫が安全基準に適合しているかを確認する最終段階と言えます。事業者は、申請に必要な書類を整え、スムーズな検査実施を目指しましょう。 

 

6.倉庫の運営開始 

完成検査に合格すると、検査済証が交付され、危険物倉庫の運用が開始します。この証明書は、倉庫が安全基準を満たし、合法的な運用の許可を得たことを示すものです。事業者はこの証明書を得て、ようやく危険物倉庫の運営を開始できます。 

 

・消防署との連携が必要不可欠 

危険物倉庫の建設では、床面積制限をはじめとする様々な建築上の基準を満たす必要があり、主に消防署による審査が行われます。エリアや担当者によって基準や判断が異なるケースもあるため、慎重な確認が求められます。

近年、物流事情の変化により、従来の港湾エリアだけでなく内陸部での危険物倉庫の建設が増加しています。内陸部での建設では、経験の少ない消防署との協議に時間がかかる可能性があります。こうした状況では、事業者側から他エリアの事例を引用して解決策を提示するなど、消防署への積極的なアプローチと密接な協力が建設成功の鍵です。 

には、途中で許可が得られたとしても、最終審査で不承認となるケースもあります。そういったリスクを避けるためには、建設の各段階で消防署との連携を密に取り続けることが不可欠です。事前協議から着工、中間検査、完成検査に至るまで、情報共有をこまめに続けましょう。 

 

 ・テント倉庫とは? 

テント倉庫は、金属骨組みに膜材を被せた膜構造の倉庫です。耐久性が高く、危険物倉庫としても利用することができます。法律でも、危険物倉庫としての利用が認められているのでご安心ください。 

 軽量鉄骨の使用やパーツのシステム化により、建築コストを抑えつつ、工期も短縮することができます。外壁には防犯性に優れたガルバリウム鋼板を使用し、耐用年数は1020年と長く、メンテナンスも容易です。無柱構造であるため、効率的に大空間を確保でき、採光性が高いことも特徴です。晴天時には、照明なしで3000LX以上の明るさを実現します。また、多雪地域向けの仕様もあり、雪の多い地域の厳しい基準を満たすことができます。さらに、柔軟な構造で地震に強く、屋根の落下の心配がありません。膜材を使用しているため、錆の発生も防ぐことができるのです。

テント倉庫は、安全性と経済性を両立させた危険物倉庫の選択肢として注目されています。建築コストの削減だけでなく、効率的な空間活用や防災面での優位性など、多くのメリットを備えているため、事業者にとって魅力的な選択肢と言えるでしょう。 

危険物倉庫を建設する際に重要な業者選び

危険物倉庫の建設には求められる条件や法令が多く、特殊な建築物と言えます。建設を依頼する際には、経験豊富で信頼できる業者選びが非常に重要です。業者のノウハウや実績は施工の質に直結するため、過去の建築実績をよく調べ、専門的な知識を持つ業者に相談しましょう。 
 
見積もりを依頼するポイントとしては、消防設備の費用を含め、保管する危険物の種類に応じた仕様を明確にする必要があります。表面的な安さに惑わされず、全体的なコストを見越した上で進めてください。事前の見積もりが甘い場合、あとで高額な改修が必要になる可能性もあるため、入念な計画と仕様の検討が不可欠です。 
 
経験豊富な業者であれば、法令順守や安全性の確保に関する知見を持っています。その知識を活かし、建設ニーズに合わせた最適な提案を行うことができるでしょう。一方、実績の乏しい業者に依頼した場合、手戻りが発生したり、安全性に問題が生じたりするリスクがあります。 
 
危険物倉庫の建設は、安全性と経済性のバランスが求められる難しい課題です。事業者は、信頼できる業者を選び、綿密な計画を立てることで、成功へと導くことができるのです。 

まとめ

危険物倉庫の建設には、厳格な位置基準や多岐にわたる届出・手続きが必要とされます。危険物の種類や周辺環境に応じて法令で定められた基準に従い、位置や規模、構造が決定されます。これらの法令を順守しない場合、許可を得ることはできません。

そのため、専門知識と施工実績を持つ建設会社との協力が不可欠です。太陽工業は豊富な施工実績を持ち、危険物倉庫の建設においても確実な施工が可能です。しかも、低コスト、短工期で建設可能なテント倉庫の実績が豊富なことが特長です。

太陽工業は創業100周年を迎え、テント倉庫の建設においては国内シェアNo.1の実績を誇っています。危険物倉庫の建設をお考えの方は、ぜひ太陽工業までお問い合わせください。豊富な経験と知識を活かし、お客様のニーズに合わせた最適なご提案をさせていただきます。 

 

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