TOP > MakMaxプラス > 土木 > 法面保護工事に活用できる新しい手法とは
土木
2019/12/25

法面保護工事に活用できる新しい手法とは

高谷裕美
MakMaxプラス

法面は常に崩壊過程にあると言ってよく、その崩壊を抑止するためには法面保護工事が必要です。

今回はさまざまな法面工事についてご紹介すると共に、法面工事の新機軸となる「コンクリートキャンバス」をご紹介します。

 

 

法面に関する工事

法面に関する工事は大きく分けて以下の三つが存在します。

  1. 切土・盛土工
  2. 法面排水工
  3. 法面保護工

 

①切土・盛土工

斜面上の不要な土砂を撤去したり、土を盛り立てたり整形する工事を指します。山などの傾斜面をならしていく最も基本的な法面工事と言えます。しかし、これだけでは法面を形成しても表面に流れる水で浸食されたり、水が浸透して、法面が崩壊してしまいます。

 

②法面排水工

法面崩壊の原因の多くは表面を流れる水や地下水に起因します。適切な法面排水溝の設置により表流水・地下水を導き、浸食や崩壊を防止します。地形が急峻で降水量も多く、台風やゲリラ豪雨などの大雨に見舞われることも多い日本では、特に土木構造物における排水の重要性が非常に大きいといわれます。法面における排水工は表面排水と地下排水の2つに大きく分けることが出来ます。

 

③法面保護工

整形された法面の強化や、浸食防止をはかる工事です。法面保護工事には様々な手法があり、それぞれに一長一短が存在します。それぞれの状況に応じて適切な工法は何か常に考え、選択する必要があります。

 

法面保護工事について

法面に関する工事の中で特に法面保護工事は重要です。法面保護工事は緑化によるものと構造物によるものに大別されますが、構造物によるものはその目的から以下の4つに大きく類型化できます。

 

①湧水等による土砂流出の抑制

法尻にかごや柵を設置することで土砂流出を食い止めます。法尻とは、斜面の下側を指します。例えば、地盤に土を盛り上げた場合、地盤と盛土の接合部にできる折れ点が法尻です。

自然石が詰められたかごは、種類により”じゃかご”、”ふとんかご”、”かごマット”などがあり、構造物にかかる土圧により使い分けられます。柵工は多くの場合、植生と組み合わせて施工されています。

ふとんかごの例

 

②表面の風化・浸食の防止

法面の表面をコンクリート等で被覆することで、表面水などによる浸食や風化を防ぎます。代表的なものとして、モルタルコンクリート吹付や石張、ブロック張などの工法があります。

モルタルコンクリート吹付とは、吹付機を用いて、モルタルコンクリートを圧縮空気によって吹き付ける工法のことをいいます。一般的な施工手順として、清掃後の法面にラス網と呼ばれる菱形の金網を固定した上で吹付が行われますが、これはコンクリートの亀裂や剥離の防止を目的としています。

ラス網(菱形の金網)の上にモルタルを吹き付ける

吹付されるモルタルコンクリートは現場に設けられたプラントヤードで配合され、デリバリーホースを通り法面まで圧送されます。また、石張やブロック張は、比較的緩い勾配の法面で採用される工法で、クレーンやバックホウや治具を用いて石やコンクリートブロックを法面に並べ、表面を被覆します。

比較的緩い勾配の法面で採用される石張

吹付・石張・ブロック張のいずれも、法面への水の浸透を防ぐことが出来ますが、同時に背面の水圧が構造物にかかってしまうため、水抜きや排水を設け背面水を排除します。

 

③表層部の崩落防止(土留め)

背面からの土圧に耐えられるような擁壁を設けることで、法面の崩落を防ぎます。擁壁を設置することで法面を急勾配に収めることができ、用地や地形などの制限にも対応することが出来ます。

擁壁を設けることで法面を急勾配に収められる

コンクリート製の擁壁を現場で打設する、二次製品の擁壁を設置する、石積みやコンクリートブロック積みにより土留め構造を構築するなど様々な方法があり、表層の保護のみでは崩壊してしまう法面において採用されます。

 

④法面の滑動による崩壊防止

土の中の水分や土自体の重みにより、法面はある断面境界から土が「すべって」崩壊を起こすことがあります。崩壊を防ぐためには、法面にアンカーなどを挿入して補強します。

地盤の解析や調査から土が滑る深さを検討し、グラウンドアンカーや補強材をそれより深い位置まで差し込むことで、法面を含む土塊を保持します。アンカーや補強材は法面の表面で露出しないよう、コンクリート等で被覆されます。法枠工と組み合わせて施工されることが多く、アンカー同士を鉄筋コンクリートで結合することでより強固に法面の補強を行えます。

アンカーと法枠工

これらの工法の多くは長くの歴史と多くの実績をもっていますが、近年注目を集めつつある新たな法面保護資材として「コンクリートキャンバス」をご紹介いたします。

 

法面工事の新機軸となる「コンクリートキャンバス」

コンクリートキャンバス」はコンクリートとキャンバス(布地)の複合材料です。セメントが含まれた布に水分を加えれば、コンクリートとして硬化する、現場打ちと二次製品の特性を併せ持つ新機軸のコンクリート製品です。

コンクリートキャンバスで法面を保護

特長としては施工性、耐久性、柔軟性が挙げられます。

まず施工性ですが、コンクリートキャンバスは1本で約70kg程度と軽量です。現場での裁断も自在に行えるため、重機が入らないようなエリアでも人力で運搬・設置が可能です。

また、敷設に必要となる副資材はアンカーピンと接合用のビスのみ、必要な工具はハンマーとインパクトレンチのみです。そして硬化に必要なのは散水のみです。そのため、プラントの設置や打設重機が不要で、吹付工や型枠工のような専門技術も必要ありません。

コンクリートキャンバスならプラントミキサーや打設重機が不要

コンクリートキャンバスのその施工性から、誰でも、どこでも、簡単にコンクリート面を構築することが可能になりました。

次に耐久性です。コンクリートキャンバスは英国規格の耐候性試験で、少なくとも50年の屋外環境に対応できることが確認されております。また、キャンバス内に採用されているセメントは、適切な水和により40MPaの圧縮強度を発現します。これは一般的な無筋コンクリートの呼び強度(18や21など)と比べても非常に優れた数値となっています。

カッター切断で現場に合わせた細かな調整が可能

耐候性・耐薬品性・防水性・耐火性についても試験を行っており、極めて強靭な素材であると言えます。コンクリートキャンバスは、施工後の保守コストの低減に大きく貢献できます。

最後に柔軟性です。コンクリートキャンバスは、硬化が始まるまで布地の性質をもっており、複雑な形状の地盤にも柔軟に追従します。また、カッターナイフでの切断が可能なため現場に合わせた細かな調整が可能で、法面保護のみならず水路補修など様々な用途で使用されています。

施工が簡単で強度も申し分がないコンクリートキャンバス

 

まとめ

法面工事には様々な形態があります、中でも重要なのが法面保護工事ですが、その工法には一長一短がありました。そして常にこの分野では新しい技術の開発と工法の導入への取り組みがおこなわれており、その一例としてコンクリートキャンバスをご紹介しました。

手軽に利用ができるコンクリートキャンバスは低コスト、またその耐久性によって施工後の保守費用も押さえてくれます。既に日本全国47都道府県で、地方公共団体はじめとする様々な導入事例がありますので、ぜひ弊社の公式ホームページをご覧ください。

関連記事