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屋根
2020/11/10

選ばれる商業施設へ 賑わいと安心を生む“空間”というコンテンツ

高谷裕美
MakMaxプラス

ショッピングモールをはじめとした大型商業施設は、ただ買い物だけが目的ではなく、時間を過ごすエンターテインメントを提供する場でもあります。施設の回遊時間が長ければ長いほど、購買量も増えるというデータがあることから、いかに快適に楽しい時間を過ごす空間を提供できるかは、施設に賑わいを生む重要なポイントです。こうした中、注目されるのが、広場を中心とした施設設計です。人々が集い、賑わいを生む空間の存在が、地域における施設の存在価値を高め、まさに地域コミュニティに必要不可欠な存在となる。さらにその空間は災害時には地域を守る防災機能も担う。そんな商業施設における場の整備について見て行きましょう。

 

 

滞在時間と購買行動の関係

「特に目的はなく訪れている」「気分転換に」 これらはある商業施設を訪れた消費者の来店動機調査で上位に記された回答例です。ここから見えてくるのは、商業施設を訪れる際、「特定の目的がない人」がかなり存在するということです。 実際、自身の買い物行動を振り返ってみると、食品スーパーなど比較的目的がはっきりしている買い物は別として、大型商業施設に出かけるときは「何を買う」より「そこに行く」ことが目的になっていないでしょうか。 買い物はただ「必要なものを購入する」だけではなく、その時間を楽しむ、ある面でエンターテインメント近い行為です。その意味で消費者に選ばれる商業施設には、テナントのラインアップや商品はもちろん、時間を過ごせる“場” “空間”というコンテンツが重要になってきます。

興味深いデータとしてご紹介したいのがjeki駅消費センター(JR東日本企画)の『駅ビル回遊行動調査』です。この調査によると、「買い物意欲があり、滞在時間が短い人」より「買い物意欲がなく、滞在時間が長い人」の購買支出が多いという結果になっています。そもそも何かを買おうと思って訪れたわけではなくフラリと立ち寄って店内を回遊する。その時間が長くなるほど、実際の購買行動につながるお客様が多いということです。 もちろん駅ビルのデータをそのまま他に置き換えることはできないかもしれません。しかし商業施設にとって滞在時間の長さが消費行動に影響していることは大きな注目ポイントの一つです。

 

システムトラスが生み出す価値ある空間

「いかにお客様の滞在時間を増やすか」。商業施設にとって重要になってくるのが、そのための“場”でしょう。たとえば施設のエントランス、あるいは中心付近を吹き抜け構造にし、イベント等が開催できるスペースを設けているショッピングモールは少なくありません。ミニコンサートや歳時に合わせた催しなどで一定の集客効果がある一方、「イベント時のお客様の動線確保に苦労した」、「テナント店舗入り口に人が停滞してしまった」、最近では「感染症対策で屋内イベントの開催が難しい」という声もお聞きします。

そこで注目されているのが屋外の広いスペースをイベント広場に活用するという施設設計です。中央に広場を置き、それをぐるりと囲む形で店舗を配することで、広場で過ごすお客様が「あそこ覗いてみない?」といった購買につながる“気づき”や“きっかけ”を生むほか、ベンチやテーブルなどを周囲に置くことでお客様の施設滞在時間がより長くなる。散歩など広場目的の来場者が増え、それが購買へと結びつくといった効果があると期待されています。

当然、屋外施設は天候要因に大きく左右されます。屋根を設置すれば解決ですが、「屋根の存在が景観を損ねる」、「空間の圧迫感を生む」、「柱がデッドスペースをつくる」、「地震等による崩落が心配」といった問題があります。こうしたいくつかの課題、心配を解決するのが、太陽工業の空間構造システム<TMトラス>です。

トラス構造は古くからある構造形式で、基本は三角形を基本単位にした集合体で構成します。部材を曲げようとする力『曲げモーメント』が隣り合う部材で発生せず、荷重を加えても部材には引張り、圧縮の力しか加わらないため。多くの柱を要せずに屋根を安定的に支えることが可能となります。

TMトラスはこうしたトラス構造の機能をベースに、施工効率性、強度、設計の自由度を大きく高めたシステム工法です。工場製造された鋼管のパイプに仕込んだボルトを鋼球(グローブ)のネジ孔に接続して平板に組み広げて行きます。基本設計から、実施設計・電算解析・図面製作→施工設計→生産設計→工場製造→施工に至る一連のプロセスを全て専用のコンピュータ・システムで管理。部材精度が高く、現場施工時には支承部品以外の溶接作業が発生しないため、施工効率を高めるだけなく、高レベルでの品質安定性を実現。スタジアムやアリーナ、体育館などの屋根に数多く採用されているほか、商業施設や駅施設などにおいても空間を最大限に有効活用できる構造システムとして高い信頼をいただいています。

特徴の一つがその軽量性です。TMトラスで形成された屋根構造体の重量は一般鉄骨構造の約半分。このため少ない柱で大空間を覆うことができ、空間を最大限に有効活用できるほか、万一の地震等の場合でも、揺れによる下部構造への影響が大きく抑えられるため、倒壊や破損等の危険性が極めて少ないという、高い安全性能を持っています。

屋外施設としての利用するTMトラスの利点として、膜との相性の良さがあげられます。TMトラス自体の性能に、膜の軽量性が加わることで、伸びやかで明るく圧迫感の少ない空間を実現できます。しかも膜構造屋根は一定の明るさを保持しながら、暑さの原因となる光成分を反射するため屋根下温度は金属スレートなどに比べて低くなります。当然、覆われた空間の温度も低くなるため夏場の熱中症対策にも有効な快適空間をつくりだします。 くわえて光触媒膜なら膜面に付着した汚れを分解し雨で洗い流すセルフクリーニング機能があるため、掃除等のメンテナンスを要せず、常に新築時の美しさを保持できるという特徴も持っています。

 

トラスの施工実績(商業施設・体育館・倉庫リノベーション)

 

地域センターへ進化する道の駅

地域活性化のために商業施設の持つポテンシャルを利用するという点で注目を集めているのが道の駅です。国土交通省の『国土のグランドデザイン2050』によれば、「商店、診療所など、日常生活に不可欠な施設・機能を歩いて動ける範囲に集めた『小さな拠点』を形成し、周辺集落と交通ネットワークで結ぶことにより、持続可能な地域づくりを推進」するとしており、その核拠点の一つに道の駅があげられています。

現在、道の駅は全国に1,180(2020年7月1日時点)。もともとはドライバー向けの休憩施設という面から整備が進められてきましたが、現在ではそんな「ゲートウェイ」(観光等によって地域外から活力を呼び込む)機能だけでなく、地域住民の暮らしを支える「地域センター」としての役割を担う道の駅も増えています。具体的には診療所、役場機能などを備えたワンストップでの住民サービスの提供、高齢者のためのデイサービス機能、運動場での地域行事の開催、バスターミナルを整備して地域集落の高齢者の移動手段を確保するなど、さまざまな取り組みも始まっています。

こうした地域センター機能をより有効とするためにも、場の環境整備は大きな鍵を握っています。施設のバリアフリー化はもちろん、雨天時の利用を考え大屋根の庇による滞留スペースの確保、バスなど交通機関の乗降場やベンチへのシェルターの設置、親子連れから高齢者まで多くの人が日常的に集い、交流できる広場の存在といった利便性、快適性の向上が、人が集まる仕掛けづくりとなるからです。

最近では地方バス路線の統廃合などにより、移動手段がなくなった高齢者の移動手段として、道の駅を中心に自動運転バスなどを走らせ、新たな地域の交通インフラ、ネットワークを整備するための社会実証実験もスタートしています。こうした取り組みにおいても、自動運転と自家用車が交わらないゾーニング。来場者が目的の場所へと移動しやすい案内機能などの整備は重要です。一般的な道の駅は平面状に低層の施設が点在するレイアウトが多いことから、これにはシェルターを連続的に展開して乗降場所の利便性を高め、移動通路を分かりやすく明示する駅前広場の事例が参考になるかもしれません

シェルタータイプ、実績写真はこちらから

 

災害時には地域の防災拠点として

道の駅の持つポテンシャルが大きく注目をされたのが、東日本大震災における防災活動拠点としての役割です。宮城県大崎市の道の駅では自家発電機能を備えていたため施設を24時間開館。住民におにぎりや菓子などを提供し館内に避難者を受け入れたほか、宮城県登米市の施設は自衛隊やレスキュー隊の前進基地として、福島県平田村では地域の病院や避難所への食材提供を行うなどして避難救助活動をサポートしました。

こうした例をもとに、現在、国土交通省では広域的な防災機能拠点として機能する「防災道の駅」を選ぶ認定制度を創設。2021年にも初回認定をスタートさせます。認定にはヘリポートとして利用できる広い駐車場、消防や自衛隊の活動拠点スペースの有無などがあり、この点からも平時には広場や公園として利用し、緊急時に転用が可能な場の存在が重要となります。なかでも屋外のトラスシェルターによる広い屋根空間は、避難物資の備蓄、負傷者のトリアージセンターなど転用の幅が大きく、限られた屋内空間を避難所として利用する上でも有効でしょう。

地域防災への貢献はショッピングセンターなども同じです。災害時には公共施設の損壊などにより、被災自治体の災害対応能力が大きく低下する危険性があります。そうした緊急時、地域の大型商業施設には物資供給、避難場所の提供といった形で自治体活動をサポートする役割が期待されています。事実、東日本大震災などでは屋内駐車場を避難所として開放したり、水や食料の提供を行い、実質的に避難所機能を果たしたショッピングセンターの事例も見られました。

2017年には災害対策基本法に基づく指定公共機関(内閣総理大臣が指定)にスーパー、コンビニなど大手7社が指定され、災害時の支援物資の調達・供給を担うことになりましたが、これ以外にも自治体と商業施設の間で災害時の協力協定を結ぶ動きが各地で進んでいます。平時は人々の憩いの空間であり、その存在が賑わいや交流を生み出し、万一の災害時には一時避難場所などとして地域住民の安全を守る。まさにそのための場づくりの重要性が高まっています。

イオンモール福津

その他の防災・減災グッズはこちら

 

改修、増築時の影響をいかに抑えるか

商業施設の場合、新規開設時だけでなく改修によって屋根を付加し新たな空間を設ける、あるいは外周部の通路などに新たに屋根を設け、お客様の利便性を高めるというニーズもあります。また先に示した災害時の避難場所などを想定して、屋外広場に屋根を新設するということもあるでしょう。

商業施設での改修、増築工事の課題は、音、振動などによる顧客、既存店舗への影響です。いかにそうした問題を最小限に抑え、通常営業を継続できるか。この点でもTMトラスには優位性があります。TMトラスは設計から施工までを専用のコンピュータ・システムで管理。構成部材は軽量な単一材なため狭い場所への搬入も容易で、大型重機を用いない短期施工が可能となるからです。

広場全体を覆う屋根だけではなく、遊具のみ、あるいは周辺通路を回廊型に覆う形状など、さまざまなデザイン計画に対応できるのもTMトラスの強みです。 基本となる構造の組み方は<三角形組タイプ>、<オクテッド(四角錐)組タイプ>、<ボックス組タイプ>、<斜交組タイプ>の4種があり、設計デザインにあわせてもっとも最適な構造を選択。大部分のデザイン形状はこの4種で対応できますが、より複雑な曲線、円形、球体といった形状にも専用のプログラムによって応力計算を行い、適切な部材を選定して新築から改修、増築まで幅広く対応します。

4つの組み方事例図

 

まとめ<選ばれる施設への貢献>

屋根は雨風、日差しをしのぎ、利用する人に快適性を提供し、賑わいをつくります。人が集うことは交流を生み、そこに何らかの価値が生み出される。今回ご紹介した商業施設における広場の存在も、まさに同じでしょう。地域に必要不可欠で、地域に選ばれる施設へ。そんな価値ある空間創造を、私たちはTMトラスをはじめとしたさまざまな製品・技術でお手伝いさせていただきます。

子供も親も集まる遊び場|ふわふわドームとは

 

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