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WMS(倉庫管理システム)導入のポイントとは? メリット、デメリット、導入手順、失敗事例や物流業務効率化につなげる選び方を解説

物流品質や生産性の向上、倉庫管理業務の効率化を目的に、WMS(倉庫管理システム)導入を検討する企業が増えてきています。しかしWMS導入を検討していても「各システムの違いが分からない」「具体的な導入方法が分からない」といった方も多いかもしれません。

今回の記事では、WMS導入のメリットやデメリットとは何かに加えて、WMSの各システムの違い、導入手順や方法について解説します。WMS導入のよくある失敗事例も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

WMS(倉庫管理システム)とは

WMSとは「Warehouse Management System」の略で、日本語では「倉庫管理システム」と呼ばれています。WMS導入によって、入庫、出庫、保管などの倉庫での庫内物流業務の改善や自動化が可能です。煩雑になりがちな倉庫管理業務の正確化および効率化を目的にWMSは幅広い業種で導入されています。

▼WMSの概要や機能、基幹システムとの違いなどは以下で詳しく解説しています。
物流効率化の要「WMS(Warehouse Management System)」とは

WMSのシステムの種類別の特徴

WMSは導入形態別に3つの種類があります。WMS導入前に知っておきたい3つの導入形態の特徴について解説します。

クラウド型

クラウド上にあるWMSシステムをインターネット経由で利用するのが、クラウド型WMSです。自社内に、および自前でサーバーを設置・運用する必要がないため、管理の手間や初期費用を大きく抑えられます。ランニングコストもほかの導入形態と比べて低めのため、小規模の倉庫でも導入しやすいでしょう。インターネット環境があれば、社内外の場所を問わず利用できます。

尚、クラウド型はすぐに使い始められるよう様々な機能が予めパッケージングされているため、ほかの2種類の導入形態よりもカスタマイズ性は低めな場合があります。オフライン環境では利用できない点にも注意しましょう。

オンプレミス型

自社内に設置したサーバーでWMSを運用するのが、オンプレミス型WMSです。カスタマイズ性に優れているため、機能を追加する、仕様を変更するといった自社や業種に応じた最適なシステム設計ができます。

オンプレミス型は自社内でサーバーを設置する必要があるため、初期設置やサーバー管理、さらにカスタマイズをするための費用が発生します。WMSの運用管理や保守管理の負担が大きくなることも覚えておきましょう。

パッケージ型

パッケージ型とは、オンプレミス型と同様に自社内にサーバーを設置して運用するWMSです。あらかじめWMSの機能や設計が行われている点がオンプレミス型と異なります。

自社内のサーバーで運用する点はオンプレミスと同様ですが、設計を自社で行う必要がないためオンプレミスよりも初期費用は低めに抑えられるでしょう。ただし、使用できる機能や設計、操作性などは基本的に事前設計されているため、カスタマイズはオンプレミス型よりは低くなります。

WMS導入のメリット

WMSを導入することで得られるメリットを解説します。

入出庫作業の効率化につながる

WMS運用下での倉庫では商品とロケーションの指示を確認しながら作業ができ、在庫の「使用期限」や「ロット」ごとの管理もできます。必要なものを探す時間を大幅に短縮できるため、入出庫作業の効率化にもつながります。

人為的ミスやコストを減らせる

WMSを導入すると、ラベル(バーコード)とスキャナ読み取りにより、倉庫業務をデジタル管理できるようになります。従来の手入力や目視による作業をデジタル化できるので、人為的なミスが減るのも、WMSのメリットです。万が一誤出荷につながるような誤った作業があった場合にはシステムから警告が出るため、出庫や配送管理時のミスの見逃し防止にも活用できます。

手入力や目視をデジタル化することで作業工程が減るため、配置する人員も減らせます。人件費のコスト削減にもつながるでしょう。

適切な人員配置ができるようになる

WMSを導入すれば、入出庫の作業を標準化できます。倉庫管理業務に特別なスキルが不要になるのもメリットのひとつです。勤務年数の長いベテランの従業員だけでなく、アルバイトやパート従業員、さらに新人や繁忙期だけのヘルプの人材でも同じ品質で作業をすすめられます。人数の適切な配置はもちろん、特定業務の属人化も防げます。

WMSによって倉庫内だけでなく、現場の進捗状況や棚卸管理といった関連情報もリアルタイムで把握できます。倉庫全体の作業管理がしやすく、それぞれの部署への適切な人材の配置も実現できるでしょう。

倉庫内のロケーション変更や省スペース化につながる

WMSは倉庫のロケーション変更があった場合もすぐにシステムへ反映できます。登録データの修正や商品在庫位置の設定などのロケーション変更時も、変更にともなう作業の手間が大幅に削減できるのがメリットです。

登録データや商品在庫の変更も容易にできるため、在庫の一時保管場所などが不要となり倉庫内の省スペース化にもつながります。

トレーサビリティと品質管理が実現する

WMSは、商品の入荷から出荷までの過程を追跡できるため、倉庫内のトレーサビリティを確保できるのもメリットです。

WMSでは、商品を基本的にはすべてバーコードで管理し、商品の場所移動や保管履歴を逐一追跡できます。在庫状況をリアルタイムで把握できるため、適切な在庫量の維持も可能です。過剰在庫や欠品の問題を最小限にすることで、倉庫内での在庫の劣化や破損、紛失なども防止でき、品質向上にもつながげられるでしょう。

顧客満足度の向上につながる

WMSの導入によって適切な在庫管理や入出荷作業を実現すれば、製品や商品の品質の担保や素早い出荷も可能になります。より良い品質での商品の提供や、ニーズに応じた発送、出庫が実現できるため顧客満足度の向上にもつながるでしょう。

WMS導入のデメリット

WMSはメリットも多くある一方、デメリットもあります。導入前に知っておきたいデメリットを解説します。

導入にコストがかかる

WMS導入時、システムやサーバーの構築、設計といった初期の導入コストが発生します。さらに、実際にWMSを業務上で運用、活用する従業員に対して操作方法をはじめとした教育も必要です。WMSによって作業の手間や人件費などの運用コストは削減できますが、導入時には一定のコストが発生します。導入前にどの程度の費用が発生するのかを把握しておくことが重要です。

導入から稼働までの準備や手間がかかる

WMSはさまざまな段階を踏んで現場に導入されるため、検討から実際に稼動するまでの準備や手間がかかることを覚えておきましょう。たとえばWMS導入前には各サービスの比較検討、社内の決裁、資料の準備、現場作業の教育やマニュアル作成が必要です。WMS導入を検討しているなら、できるだけ早く導入のための行動をしておくことで、現場への導入タイミングを早めることができます。

よくあるWMS導入の失敗事例

WMSを導入したものの、現場でうまく活用できない場合があります。WMS導入に失敗してしまった事例を紹介します。

システムと現場のニーズがミスマッチだった

WMS導入が現場のニーズに合わず、逆に作業が複雑化してしまう、操作性が複雑で使いこなせない、といった失敗をしてしまうことがあります。

たとえばWMSによってロケーションを変更したところ、普段から作業しているスタッフがどこに何があるのかが分からなくなってしまい、ピッキングや検品作業が進まなくなる、といった事態を引き起こしてしまうこともあります。WMS導入時は現場の意見を取り入れ、現場での困りごとや課題、ニーズを把握した上で最適なシステムを選ぶことが重要です。

拠点により業務が異なり混乱が生じた

複数の倉庫拠点を運営している場合、WMSを導入している拠点、導入していない拠点ができる場合があります。同じ企業内でもWMSの有無で作業内容が変わることで、混乱が生じてしまうケースもあるでしょう。作業内容だけでなく、WMS導入済拠点と未導入拠点で商品の帳票や伝票の体裁が異なってしまい、データが正しく反映されず、倉庫の状態を正確に把握できない事態に陥ることもあります。

関係先との連携不足が生じた

WMSは倉庫管理を行う現場だけでなくIT部門、経理部門といった関連部署との連携も必要です。各部門間で連携が取れないと、業務が滞る、作業効率が落ちるなどの弊害が出てしまいます。WMSの新規導入を周囲に伝え、連携をとるようにするのが重要です。

期待した効果が得られなかった

WMSを導入したものの、目に見える効果が出ず導入コストや手間のみがかかってしまうケースもあります。

システムの導入目的や現場の課題、ニーズなどが不明瞭なうちにシステムの比較検討をしてしまうと、機能面が十分でないシステムを選んでしまう可能性があります。WMSに必要な機能や期待する効果は企業ごとに異なるため、WMSを導入する目的を明確にしておいてから、システム選びに移るのが重要です。

WMSの選び方のポイント

WMSの導入に失敗しないために覚えておきたい、選び方のポイントを解説します。

導入目的を明確にする

前述通り、WMSの導入目的は企業ごとに異なります。たとえば、現場で解決したい課題も在庫数の把握を徹底したい、人員やコストを削減したい、倉庫業務を効率化したいなど、さまざまです。現場のニーズや課題を把握した上でWMS導入の目的を明確にし、最適なシステムを選ぶようにしましょう。

運用方法に合うものを選ぶ

WMSは前述通り、大きく分けてクラウド型、オンプレミス型、パッケージ型の3種類があります。

自社での運用方法を想定し、最適なタイプのシステムを選びましょう。たとえば社外での利用が多い、運用や設定の手間を省きたいときはクラウド型が向いています。一方で費用や運用の手間がかかってでも自社にとって理想のWMSシステムを追及したい、という場合にはオンプレミス型のほうが適している場合もあるでしょう。

コストや予算を想定しておく

WMS導入時には、初期費用だけでなくサーバーやシステムの設定費用、月額料金、人件費などのコストも発生します。

月々のランニングコストを想定しておきましょう。WMSには無料で利用できるものもありますが、使える機能が制限されていることがあります。無料やトライアルは実際の現場運用に取り入れるのではなく機能や使用感の確認に利用し、自社に最適なシステム選びに役立てるのがおすすめです。

基幹システムとの連携や外部との情報の共有の有無を確認する

WMSが本社の基幹システムと連携できるかを確認しておきましょう。外部との情報共有が容易にできる機能をもったものであれば、データのやり取りにかかる時間や手間を大幅に削減できます。

サポート体制が充実しているかを確認する

WMSのシステムのサポート体制が充実しているかも重要なポイントです。たとえばベンダー側のエンジニアに相談できる、倉庫管理全般に対するアドバイスやコンサルティングが受けられる、システムのマニュアルがダウンロードできる、トラブルの相談窓口が用意されているなどの支援を行っているサービスやベンダーもあります。

サポートの内容や程度を資料請求時やデモの依頼の際に問い合わせることをおすすめします。

企業の導入事例をチェックし相性の良いものを選ぶ

WMSを提供する企業の導入事例をチェックしておきましょう。自社と同業種に多くの導入実績があるWMSなら、業務とシステムの相性も良く期待する効果や課題解決につなげられる可能性が高まります。

WMSの導入手順

WNS導入までの手順を解説します。

自社の 課題と目的を明確にする

WMS導入前に、自社が抱える課題を洗い出し、導入の目的を明確にしましょう。

課題と目的を明確にし、社内で共有すればWMSで必要となる具体的な機能が分かります。課題や目的が曖昧なままWMSを導入すると、費用対効果が低くなる、効果検証ができないなどの失敗につながるため注意しましょう。

システムの候補を選定する

各社が提供、販売するWMS製品から課題解決につながる機能や特徴を持つものをいくつかピックアップします。ピックアップした候補から、各システムの価格や機能を比較し、自社で使用している他システムとの連携の可不可も確認しておきましょう。

自社の取り扱い商品や業界によっては、一般的ではない保管方法や物流ルールといった特殊な倉庫業務が発生することもあるため、一般的な機能のみのWMSでは自社の業務フローに対応しきれないことがあります。自社と同じ業界の導入実績があるかも同時に確認しましょう。

システム会社と詳細を確認する

候補となるWMSシステムを選定したら、自社の規模に合ったシステムか、どのくらいの課題を解決できることになるのか、機能を使いこなすことが可能そうか、導入後のサポートが十分にあるのかなどを確認します。

システムの試用を行う

実際の使い勝手や操作性などを確認するために、トライアルや体験版を通じてシステムの試用を行いましょう。

導入の最終決裁を行う

社内でシステム導入への認識を合わせ、実際に見込める費用対効果を算出し、社内で最終決裁を行います。決裁が下りたら、システム会社と契約し、導入準備を進めます。

システムの導入準備に入る

利用マニュアル作成、社内スタッフ向けの研修など社内での導入準備を進めましょう。導入直後には、どのようなシステムであっても現場に多少の混乱が生じる可能性があります。そのため、混乱が生じた場合でも最低限必要な業務は継続できる体制をあらかじめ用意しておくなど、しっかり準備しておくことが重要です。

導入後には作業効率が具体的にどの程度アップしたのか、ミスはどれほど減ったのか、人件費は削減できたのか、などの効果測定も行い、費用対効果を可視化する体制も整えておきましょう。

WMS導入は倉庫運営の見直しを行う絶好のチャンス

WMS導入は、物流業務や倉庫運営の最適化に取り組む絶好のチャンスとも言えます。WMS導入を進めるのと同時に、他のシステムや取り組みの導入といった倉庫業務の刷新を検討している企業も多いのではないでしょうか。

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WMS導入は最適なシステムの選定が大切

WMS導入のためのシステムの選び方や導入手順を紹介しました。WMSは現場の課題解決のほか倉庫業務の効率化や品質向上、人件費削減といった多くのメリットが得られます。ただし、自社の倉庫業務における課題やニーズを把握し、最適なシステムを選ばなければ導入後の定着にはつながりません。WMS導入時は目的や課題を明確にしたうえで、導入を検討しましょう。

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