太陽工業コラム

テント倉庫とは?選ばれる理由がわかる〜種類から価格や納期、他倉庫との違いまで解説

テント倉庫とは、鉄骨構造にシート膜を使用した建築物であり、低コストかつ短期間で建設できる点が大きな特徴です。
しかし、国土交通省の基準に従った構造が求められるため、適切な設計や施工が必要です。

本記事では、テント倉庫の建築を検討している方に向け、基本的な仕組みやメリット・課題、施工プロセス、他倉庫との違いについて詳しく解説します。

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テント倉庫とは?

テント倉庫は、軽量鉄骨を骨組みに使用して、シート膜を被せて作られる倉庫です。
その構造はシンプルで、テントのような外観を持っています。一般的な倉庫と比較して工期が短く、コストを抑えられる点が特徴です。

建築は、国土交通省告示第666号または第667号に基づいて行われます。
第666号では膜構造物全般について、第667号では倉庫用途に限定した規定が示されています。
これらの基準には、建築物の広さ、形状、用途などの条件が明記されており、適合した上で建築確認申請が必要です。

テント倉庫の主な用途

テント倉庫は主に物品の保管に利用される建築物です。建設機械の整備場や電気・金属業の保管庫として利用されます。
また、運輸や海運業における貨物の一時保管や、製造業の材料倉庫としても適しています。
さらに、半製品や完成品の簡易保管、食品販売業の商品倉庫としても活用されます。
製品の仕分け場としての機能も持ち、多様な分野で役立ちます。
さらに、土地の形状や用途に応じた設計が可能で、柔軟な対応ができる点も特徴です。

広がる活用用途

テント倉庫は、一定の基準を満たし申請することで、多様な用途に対応可能な建築物です。
主に物品の保管に利用されますが、その用途は広がっています。
例えば、自動車や航空機、トラックの格納庫として利用されたり、ショールームとして活用されるケースもあります。

さらに、ドッグランやスポーツ室内練習場としての利用も進んでいます。
特に、従来型の建築物と比べて建築費を抑えられることから、フットサルやテニスコート、スケートボード場などの室内練習場として導入が増えています。

コストを抑えつつ、多目的に利用できる点が魅力です。そのため、幅広い業界で注目され、新たな活用方法が模索されています。

テント倉庫の4つの種類と特徴

テント倉庫には4つの種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。各種類の特徴を詳しく解説します。

固定式

最も一般的なのが固定式です。このタイプは、すべての面がシート膜で覆われており、外部からの影響を受けにくいのが特徴です。
この構造により、雨風やほこりの侵入を防ぎ、倉庫内の環境を安定させられます。そのため、資材や製品の保管に適しており、さまざまな業界で活用されています。

しかし、密閉されているため風通しが悪く、特に夏場は熱がこもりやすいデメリットがあります。これを解決するには、エアコンや換気装置の設置が有効です。
また、倉庫内で作業を行う場合は、熱中症対策としてこまめな水分補給や休憩の確保が必要です。適切な管理を行うことで、作業効率を維持できます。

荷捌き場

荷捌き場のテント倉庫は、一部または全ての側面が開放された構造です。これにより通気性が良く、快適な作業環境を維持しやすい点が特徴です。

また、側面が開いているため、物品の出し入れがスムーズに行えます。フォークリフトや作業車両の出入りも簡単になり、作業効率の向上につながります。
さらに、熱がこもりにくいため、気温が高くなる夏場にも比較的涼しい環境を保つことができます。

ただし、雨や強風への対策は必要です。雨天時には雨水が吹き込む可能性があり、強風時には風圧の影響を受けることがあります。
そのため、防水シートの設置や補強材の使用、開口部のカバーなどの対策が求められます。特に長期間の使用を予定している場合、耐久性を考慮した設計を行うことが重要です。

伸縮型

伸縮型のテント倉庫は、ジャバラ構造を採用しており、必要に応じて伸縮が可能です。
未使用時にはコンパクトに折り畳めるため、省スペースで収納できます。
柔軟な設置が可能で、移動や用途に応じた活用がしやすい点も魅力です。
さらに、耐久性があり操作も簡単なため、一時的な倉庫が必要な工事現場やイベント会場などで活躍します。
必要なときに素早く展開し、不要なときには収納できるため、効率的な倉庫管理が可能です。

テント倉庫のメリット

テント倉庫の最大の魅力は、設置費用の安さにあります。シンプルな構造と少ない建築資材により、在来工法やシステム倉庫と比べて材料費を削減できます。
工期も短く、人件費の抑制にもつながります。
さらに、光を通す特殊な生地を使用すれば、日中の電力消費を削減でき、光熱費の節約が期待できます。
コスト負担を抑えながら、効率的な倉庫運営が可能です。

加えて、テント倉庫は耐震性にも優れています。
軽量な構造によって、地震時の縦揺れや横揺れに柔軟に対応し、耐震性能が向上します。
万が一倒壊しても、軽い部材のため落下物によるリスクが最小限に抑えられます。
また、シートが破損した際も簡単に補修ができ、メンテナンスの手間を軽減できます。

敷地の制約も少なく、不整形な土地にも対応できる点も大きな強みです。
これらの特徴により、テント倉庫はコスト削減と安全性を両立し、多くの企業にとって実用的な選択肢となっています。
その他にも多くのメリットがあります。

テント倉庫のメリットについてより詳しい情報を知りたい方は、記事「テント倉庫のデメリットと、失敗しないための対策とは?注目すべきメリットまで解説」をご覧ください。

テント倉庫の注意点・デメリット

テント倉庫は、短期間で設置できるなどの利便性はありますが、注意すべきポイントもあります。
まず、一般的な倉庫と比較して断熱性能が低く、夏場は内部が非常に暑くなり、冬場は冷え込みやすい特徴があります。
これにより、寒暖差による結露が発生し、保管物に悪影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。

特に夏場は、構造上の問題から熱がこもりやすく、作業環境が悪化します。
熱中症のリスクが高まるため、換気設備の工夫や空調の設置を検討することが望ましいでしょう。
また、テント倉庫は主にシート素材で構成されているため、紫外線や風雨の影響を受けやすく、外壁や屋根部分の劣化が進みやすい点も課題です。
これを防ぐためには、耐久性の高い材質を選ぶとともに、定期的なメンテナンスが必要です。

さらに、防犯性にも注意が必要です。
通常の倉庫と比較すると構造がシンプルで侵入が容易なため、防犯カメラやセキュリティ対策を強化することが推奨されます。
必要に応じて保険に加入することもリスク軽減につながるでしょう。

これらのデメリットを理解し、適切な対策を講じることで、テント倉庫を有効に活用できます。
対策についてより詳しい情報を知りたい方は、記事「テント倉庫のデメリットと、失敗しないための対策とは?注目すべきメリットまで解説」をご覧ください。

テント倉庫の耐用年数・需要

テント倉庫の耐用年数は、国税庁が定める基準では31年とされています。
ただしこれは税制上の減価償却費を算出するためのものであり、実際の使用可能期間を保証するものではありません。

※出典元)主な減価償却資産の耐用年数表

実際の耐用年数は、倉庫の構造や立地条件、周辺環境などによって異なります。
一般的に、テント倉庫の寿命は10〜20年程度とされます。
構造別に詳しく見ていくと、テント倉庫の構造は「テント生地」と「骨組み」に分けられます。
生地の耐用年数は10~15年、骨組みに使われる軽量鉄骨部分は約20年程度とされています。
そのため、定期的にテント生地を張り替えることで、倉庫としての利用期間を延ばすことが可能です。

テント倉庫が向いている意外な企業とは?

テント倉庫は物品の保管に限らず、多様な業界で活用されています。
その理由は、軽量構造で設置や解体が迅速に行えるため、短期間の利用に適しているからです。
例えば、建設業や造船業では、大型資材や機器を一時的に保管するスペースとして役立ちます。
さらに、塗装や選別、加工といった軽作業用の作業場としても有効です。通気性や遮光性を調整できるため、作業環境の向上にも貢献します。

また最近では、柱のない大空間が作れることから、ドローン飛行の練習場としての活用も増えてきています。
その他にも、スポーツ練習場やスポーツ用具置き場としての利用、展示会場や仮設の商業施設としての活用例も増えています。
こうした用途の広さから、テント倉庫は多様な業界で実用的な設備として注目されています。

テント倉庫の建築確認申請のポイント

テント倉庫を建築する際は、建築基準法に基づき建築確認申請が必要です。
申請先は特定行政庁または民間の建築確認検査機関となり、法律や条例に適合しているか審査を受けます。
手順としては、まず建築確認申請を行い、書類審査で適合が確認されると「確認済証」が交付されます。
その後、工事の着工が可能となり、建物完成後には検査を受け、「検査済証」の交付を経て使用を開始できます。

特に「第667号」にはテント倉庫の構造や使用可能な材料についての基準が規定されており、これに適合することが求められます。
主な確認事項には、用途地域、建ぺい率、延床面積、道路面との接触、建物規模、採光確保、危険箇所の対策、耐久性、構造の安全性が含まれます。
これらを満たすことで、安全な倉庫の建設が可能となります。

建築確認を受けずに着工すると違法建築となるため、正しい手続きを経ることが重要です。
また、信頼できる施工業者へ依頼し、法令を遵守しながら建設を進めることが求められます。
基準を守ることで、安全かつ効率的なテント倉庫の運用が実現できます。

テント倉庫の施工プロセス

テント倉庫の施工プロセスは、複数のステップを経て行われます。

STEP1:打ち合わせ

最初に、施工業者と施主が打ち合わせを行います。
必要な倉庫の規模や使用目的、設置環境などを話し合います。この段階で、最適な仕様や設計が提案されます。

STEP2:現地確認と法的確認

次に、現地調査が実施されます。
地盤の状態や搬入ルート、周辺環境への影響を確認します。
また、建築基準法や自治体の条例等についても確認し、必要な手続きを明確にします。

STEP3:見積書・仕様書作成と契約締結

調査結果を基に、見積書や仕様書を作成します。
施主が内容を確認し、問題がなければ契約を締結します。
ここで費用や工期が確定します。

STEP4:建築図面・構造計算と建築確認申請

契約後、詳細な図面や構造計算書を作成します。
併せて、建築確認申請を行います。施主は敷地図などの書類を準備する必要がありますが、専門業者がサポートすることが一般的です。

STEP5:基礎工事と部材製作

確認申請が承認されると、基礎工事が始まります。
同時に、鉄骨やテント生地などの部材を工場で製作し、現場に搬入します。この事前製作により現場作業の効率が向上し、工期が短縮されます。

STEP6:建設工事

基礎工事完了後、搬入された部材を使用し、倉庫本体の建設を行います。
鉄骨を組み立てた後、テント生地を張り、完成へと進みます。

STEP7:最終検査と引き渡し

建設が完了すると、最終検査を実施し、施主立会いのもとで問題がないか確認します。
最終チェックが終われば、引き渡しが完了し、倉庫を使用できるようになります。

テント倉庫は施工のスピードやコストに優れ、短期間で設置が可能です。計画的に進めることで、より効果的な運用が実現できます。

施工時に選べるオプション

テント倉庫は、用途や保管物に応じてさまざまなオプションを追加できます。
施工業者によって提供内容は異なりますが、一般的に次のような選択肢があります。
まず、扉の種類には引き戸、スライドカーテン、アルミドア、シャッターなどがあります。
これにより、開閉のしやすさや防犯対策を強化できます。
次に、窓としてサッシ窓や排煙窓が利用可能です。
採光や換気を確保するため、倉庫内の環境改善に役立ちます。

換気装置としては、換気扇や吸気口の設置が考えられます。
特に湿気対策や空気の循環を目的とする場合に有効です。
その他、ひさしや雨どいを取り付けることで、雨天時の出入りがスムーズになります。
さらに、内張を追加すると、保温性や遮熱性を向上させることができます。

これらのオプションを採用することで、利便性が向上し、より快適な倉庫環境を実現できます。

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その他の倉庫建築方法との違い

倉庫建築には「在来工法」「テント倉庫」「システム倉庫」「プレハブ倉庫」の4種類があり、それぞれに特徴があります。

本記事をご覧の皆様は、在来工法とは異なる倉庫に関心を持ち、比較検討されていることでしょう。

特に、システム倉庫とプレハブ倉庫の違いについて詳しく解説します。これらの倉庫は、特徴や費用対効果、工期の違いがあり、各企業の要件に適しているかどうかを慎重に判断する必要があります。

システム倉庫

システム倉庫は、コンピューターシステムを活用し、設計から建設までを計画的に進める倉庫の工法です。
一般的な建築スタイルとしては、セミオーダー住宅と似ており、CADを活用することで柔軟な設計変更が可能です。
そのため、業種を問わず幅広く採用されています。

最大の特徴は、自動化によるコスト削減と在来工法に匹敵する耐久性の両立です。
自動倉庫システムを導入することで、物流の効率化や人件費の削減が期待できます。
さらに、高い強度を持つため、長期間の利用に適しています。

ただし、基礎工事が必要なため、テント倉庫やプレハブ倉庫と比べて施工費用は高めです。
そのため、短期間の利用にはコスト効率が悪くなる場合があります。
しかし、長期使用や大規模施設には非常に適しており、多くの企業で導入が進んでいます。

プレハブ倉庫

プレハブ倉庫は、あらかじめ製作されたパーツを現場で組み立てて建設する工法です。
そのため、工場で部品を生産し、効率的に組み立てることができます。
在来工法の倉庫やシステム倉庫と比較すると、工期を短縮しやすく、コストの抑制も可能です。
迅速な施工が求められる場面で、特に有効な選択肢となります。

価格帯としては、テント倉庫よりは高いですが、システム倉庫や在来工法よりも安価な位置にあります。
そのため、コストパフォーマンスを重視する企業にとって魅力的な選択肢です。
建設費用を抑えながら、一定の強度や機能を確保できる点が特徴です。

さらに、プレハブ倉庫は組み立てや分解が容易な設計になっています。
そのため、用途や規模に応じた変更や拡張が可能です。
例えば、一時的な保管用途や仮設倉庫としても利用され、特に工事現場や工場などで活用されています。
需要に応じたスピーディーな対応が求められる業界に適しています。

しかし、デメリットとして設計の自由度が低い点が挙げられます。
規格化された部材を用いるため、変則的な土地や特殊な用途には対応しづらい場合があります。
また、高気密や耐久性を重視した素材を選択すると、コストが増大し、プレハブ倉庫のメリットである低価格が薄れる可能性があります。

これらの特性を踏まえると、プレハブ倉庫は、小規模な事業の現場や短期間の保管用途に適した建築方法と言えます。
迅速な施工とコストのバランスを考慮する企業にとって、有力な選択肢となるでしょう。

倉庫建築方法毎の費用(坪単価)比較

倉庫建築の費用は坪単価で大きく異なります。
在来工法を基準に比較すると、システム倉庫、プレハブ倉庫、テント倉庫の順でコストが低くなります。
設置する地域や環境により坪単価は変動するため、具体的な金額は非記載とさせていただいております。
それでもコストを重視する場合、テント倉庫が最も割安な選択肢となることは明らかです。

倉庫建築方法毎の納期比較

倉庫の納期は、使用開始予定に合わせて可能な限り早く設置することが求められます。
一般的に、納期はシステム倉庫、プレハブ倉庫、テント倉庫の順に短縮されます。
システム倉庫は耐久性が高いですが、設計や施工に時間を要します。
プレハブ倉庫は工場での事前製造により納期を短縮できますが、ある程度の建設期間が必要です。

テント倉庫は最も短期間で設置可能で、迅速な利用開始が可能です。
しかし、耐久性はシステム倉庫に比べると劣ります。
ただし、テント倉庫はシートの張替えを適切に行うことで一定の強度を維持できます。
なお、どの工法でも設計や確認申請に要する時間が必要になる点も考慮しましょう。

まとめ

テント倉庫とは、鉄骨を組み立ててシート膜を張った建築物で、低コスト・短工期ながら十分な耐久性を備え、さまざまな用途に対応できる点が大きな特徴です。
資材の保管や製造業での作業スペースとしてだけでなく、スポーツの室内練習場やドローン練習場、ショールームなど、多岐にわたる現場での活用が進んでいます。
様々な用途事例、施工実績はこちらからご覧ください。

実績 | 太陽工業株式会社

また、耐久性や耐候性にも優れており、日中は照明が不要なほど明るいため、作業効率が向上します。
先進的なメーカーや物流業界では、多数の企業がテント倉庫を導入しています。
効率的な倉庫運営を実現するための手段として、テント倉庫を検討してみてはいかがでしょうか。

「テント倉庫」に興味を持たれた方は、ぜひ一度、創業100周年&国内シェアNo.1のメーカー「太陽工業株式会社」までお問合わせください。

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