大型膜面構造物(テント構造物)や土木・物流資材などを手がける太陽工業株式会社(東京本社:東京都世田谷区、大阪本社:大阪市淀川区、代表取締役社長:能村祐己、以下:太陽工業)は、「城崎マリンワールド」(兵庫県豊岡市、運営:日和山観光株式会社、代表取締役:今津一也)で、アシカやトドのプール「TUBE(チューブ)」膜屋根の全面張替え工事を実施しました。開館30年を迎える同施設の大規模リニューアルの一環として行われた本工事では、海と崖に挟まれた狭小地という厳しい立地条件のもと、骨組み部材を細分化できるTMトラスの特性を活かして完工しました。
城崎マリンワールドは、山陰海岸ジオパークの一部である日和山海岸に位置し、周辺等の海や川から集めた約300種・7,000点の生き物とふれ合える体験型水族館です。中でも「TUBE」は、アシカやトド、アザラシ、ペンギンなどが暮らすダイナミックな展示・ショーエリアで、2025年7月18日(金)の全面リニューアルオープンにあわせて改修が行われました。
施工地は、海と崖に挟まれた狭小地にあります。既設のアンカーボルトや基礎を活かして建て替えを行った本工事は、2025年2月から屋根の解体を始め、4月から6月にかけて新しい屋根の施工を行いました。狭小地であることに加え、当社が30年前に実施した開園時の施工とは異なり、水族館が通常営業しているため大型クレーンが使用できないという厳しい工事条件となりました。 このため、部材を人力で運搬し、手作業で組み立てを行いました。使用した部材は、平均で約14キログラム、長さは2.2mとなります。鋼管パイプと鋼球ジョイントを組み合わせた「TMトラス」は、パーツ同士が球体で自在に連結できる構造で、応力(力の伝わり方)を分散しやすく、大きな屋根を少ない柱で支えることが可能です。斜交組(上弦・下弦グリッドの角度を回転させ、一方のグリッドを小さくして、二次部材支持ピッチを細かく配置)を採用することで、部材数の削減とコストの抑制を実現しました。一般鉄骨より軽量な屋根構造を形成したため、基礎への荷重負担が軽減され、耐震上の安全性が高まっています。軽量で開放感のある空間を実現しました。
城崎マリンワールド 概要
運営:日和山観光株式会社
住所:〒669-6192 兵庫県豊岡市瀬戸1090番地
建物用途:水族館
https://marineworld.hiyoriyama.co.jp/

城崎マリンワールドTUBE屋根外観 海に面した狭小地で工事
「TUBE」 屋根 概要
施主:日和山観光株式会社
設計:太陽工業株式会社
施工:株式会社鴻池組
用途:水族館ショープール
規模:668㎡(18m×37.2m)
材料:TMトラス、A種膜
工期:2025年2月~6月
太陽工業の施工範囲:
TMトラス及び膜の設計、製造、施工

城崎マリンワールドTUBE屋根外観
TMトラス 概要
太陽工業は鋼管パイプと鋼球ジョイントを組み合わせた構造システム「TMトラス」の設計・生産・施工を一貫して手掛けています。瑞穂工場(京都府京丹波町)にて、製造を行っています。
TMトラス断面図
TMトラス×膜 実績
1977年より太陽工業にて国内で販売を開始したTMトラスはアリーナ、体育館、公共施設などに多く採用されています。日本全国で約1,000棟の実績があります。

日高川町立かわべテニス公園

道の駅なんぶ

可美公園水泳場
太陽工業株式会社について
太陽工業は、経済性、施工性、透光性、デザイン性に優れた大型膜面構造物のリーディングカンパニーです。「膜の無限の可能性を引き出し、お客さまに感動と快適な環境をお届けします。」の企業理念のもと、軽くて丈夫な素材の特性を活かし、巨大ドームの屋根に象徴される各種建築事業をはじめ、土木や物流、さらには環境分野などにも事業を展開し社会の安全・安心を支えています。
イベントコンサルティングのTSP太陽株式会社ならびに施設運営のアクティオ株式会社をはじめとするグループ会社とともに「世界を、やわらかく。未来を、あたたかく。」することを目指しています。