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物流業界の2024年問題が走行距離へ与える影響とは?業務効率化の方法まで解説

長時間労働による、死亡事故や過労死の問題が浮き彫りとなっています。これらの影響もあり、2024年以降はドライバーの残業時間に制限が設けられることになりました。しかしながら、具体的な対策方法については多くの事業者が迷っています。本記事では、2024年問題の詳細な内容と共に、問題解決に向けた7つの対策について解説します。

物流業界における「2024年問題」とは?

2024年問題は物流業界における大きな変革です。一般企業が先駆けて働き方改革による残業時間の制限を開始していましたが、2024年から物流業界も同様にスタートします。この問題について説明します。

残業時間に上限が設けられる

2024年問題における物流業界の重要な変化は、残業時間の上限設定です。これは「36協定」と呼ばれる改正によるもので、労働者の時間外および休日労働の上限を企業と労働組合が決定します。

2024年4月からは、年間で最大960時間という制限が導入されます。この変更により、労働者の働きすぎを防ぎ、労働環境が改善されることが期待されています。物流業界では、これに対応するために効率的な作業プロセスや労働力の調整が求められるでしょう。

時間外労働の賃金が割増しになる

働き方改革関連法の一環として、労働者の時間外労働に対する割増賃金率が引き上げられます。2022年3月31日までは、大企業では月間60時間以上の時間外労働の割増賃金率が50%でしたが、中小企業は25%でした。

しかし、2023年4月1日からは、中小企業の割増賃金率も大企業と同等の50%へ引き上げられます。これにより、労働者の努力に対して公平な報酬が与えられ、労働環境の改善が期待されます。しかし、企業側にとってはコスト、人件費増の負担となります。

雇用形態が違っても同じ賃金になる

大企業では2020年4月から、中小企業では2021年4月から、この原則が適用されています。これは「同一労働同一賃金」という原則であり、正規雇用や非正規雇用に関わらず、同じ仕事をしている場合は同じ待遇が必要とされています。

厚生労働省はこの原則に基づいて「同一労働同一賃金ガイドライン」を提供しています。これにより、労働者の雇用形態に関わらず、公平な賃金体系が確立され、働く人々の待遇の格差が縮まることが期待されます。

勤務間の「インターバル」が設けられる

労働者の勤務時間にも制限が設けられます。前日の終業から翌日の始業までの休憩時間を最低「9時間以上」とする義務が課され、最低でも「11時間以上」を目指す努力義務があります。これはドライバーの健康と安全な運行を確保するための措置です。

始業時間が遅くなることで、1日に運べる荷物量が減少し、物流リソースが不足する可能性があります。この課題に対して、物流業界は効率的な作業プロセスやリソース管理の見直しを検討する必要があります。健康と安全を守りつつ、業務の効率性を維持するためのバランスが求められます。

物流業界が「長時間勤務」になる理由

物流業界においては、長時間勤務になりやすい理由があります。まず、「荷待ち時間が発生するから」という点が挙げられます。物流作業では、さまざまな工程を経て商品が運搬されるため、荷物が待ち時間を要することがあります。

また、「手作業での荷下ろし」が行われることも要因です。手作業では、荷物の取り扱いに時間がかかります。これらの要素により、作業時間が長くなり、長時間勤務が生じるのです。

しかし、作業時間の改善はまだ不十分な状況です。効率的な荷物の仕分けや装備の導入など、作業プロセスの改善が求められます。物流業界はより効率的かつ労働環境に配慮した取り組みを進めることで、長時間勤務の解消を目指す必要があります。

2024年問題による走行距離の減少

労働時間の制限により、ドライバーの運転時間が制約されるため、それに伴い走行距離も減少します。例えば、1日の運転時間が10時間で約500km走行していた場合、運転時間が2割減ったとすると、1日当たりの走行距離は約400kmとなり、100km短くなります。

これにより、従来のような長距離輸送が困難になる可能性があります。この課題に対して、効率的な走行や配送方法を考える必要があります。より効率的な経路の選定や荷物の集約、適切な輸送モードの選択など、走行距離を最適化する取り組みが求められます。

走行距離の減少に対応する3つの方法

走行距離の減少に対応する3つの方法について解説します。

共同輸送の活用で輸配送効率を上げる

1つ目は、共同輸送の活用です。この方法では、同じ住所を目的地として輸送したい、複数の企業の荷物を一つのトラックで運ぶことで、輸配送の効率を上げることができます。例えば、複数のメーカーからの納品物を一つの小売店が受け取る場合、各メーカーが別々に品物を納品するのではなく、宛先が同じ複数のメーカーの荷物を同じトラックで運びます。

これにより、運搬ルートや時間の最適化が可能となり、小売店側の手間も減らすことができます。ただし、この方法を実行するためには、企業間の協力が不可欠です。共同輸送を活用することで、輸配送の効率向上と環境負荷の軽減が期待されます。

モーダルシフトで輸配送効率を上げる

2つ目は、モーダルシフトの活用です。モーダルシフトとは、鉄道や船舶などを使った輸送方法で、全行程をトラックで運ぶのではなく、複数の交通手段を組み合わせて運送します。

この方法のメリットは、トラックの走行距離が減少することで、ドライバーの労働時間を抑制できることや、長距離輸送時のコスト削減が期待できることです。

ただし、運輸にかかる時間が長くなる傾向があるため、効果的な運用方法を検討する必要があります。モーダルシフトを上手に取り入れることで、走行距離の削減と効率的な輸配送が実現できます。

VMIセンターの利用で輸配送効率を上げる

3つ目は、VMIセンターの利用です。VMIとは「ベンダー在庫管理方式」のことであり、供給会社が在庫を一括管理する方式です。VMIセンターは、この方式を実現するための共同物流センターです。

具体的な方法としては、物品を個別に最終納品先まで送るのではなく、まず大口でVMIセンターへ輸送します。その後、VMIセンターから個別の納品先へ運ぶことで、全体の輸配送が効率化されます。トラックの走行距離や、労働時間、コストの削減につながります。共同輸送と同様に、VMIセンターを利用するにも、複数の企業間での協力と物流の最適化が求められます。

物流業界の2024年問題に向けた7つの解決策

荷主企業、運送会社のそれぞれの立場から、2024年問題の解決に向けて行うべき対策を解説します。

荷主企業が行うべき3つの対策

まずは、荷主企業が行うべき対策を見ていきましょう。

荷物の積み下ろしを機械で行う

荷物の積み下ろしを機械化する対策が求められています。現在、まだ多く行われている手作業による積み下ろしは非効率的であり、機械化による作業の効率化が必要です。機械による積み下ろしは待ち時間や作業時間を減らすことができます。その分、運送時間を確保し、長距離の輸送にも対応できるようになります。物流業界において重要なメリットをもたらす対策です。

宅配ボックスを設置する

荷物を受け取る人が不在の場合、再配達には時間と労力が必要となります。宅配ボックスを設置することができれば、再配達の時間を短縮し、効率を向上させることができます。特に小口の配送物における再配達時間の短縮は大きな効率向上をもたらします。

300km圏内に中継地点を作る

300km圏内に中継地点を作ることも効果的です。中継地点を設置できれば、日帰りでの輸送が可能となり、時間外労働の削減に繋がります。ドライバーの休息時間の確保にも役立ちます。

運送会社側が行うべき3つの対策

最後に、運送会社側が行うべき対策について解説します。

効率のよい管理を行うために「IT」を利用する

効率的な業務運営、管理を実現するためには、ITの活用が欠かせません。特にドライバー管理をデジタル化することで、より細かく正確な管理が可能となります。ドライバーの位置情報や作業状況をリアルタイムに把握し、無駄のない効率的な管理を行うことができます。

ドライバーの労働生産性を上げる

労働生産性の向上にはさまざまな手段が考えられます。例えば、トラックの荷待ち時間を減らすためには、先ほど紹介した機械化や、荷物の効率的な積み下ろし、準備作業の迅速化など多くの改善の余地があります。

貨物運送時に「パレット」を利用する

貨物の効率的な運送を実現するためには、パレットの活用が重要です。パレットは、荷物をまとめて積み上げるための台板状の構造物であり、荷物の保護や取り扱いの容易さを提供します。

パレットを使用することで、荷物の積み下ろしや保管、配送が効率化されます。また、パレタイズ輸送と呼ばれる方法では、パレットに荷物をまとめて積み込むことで効率的な輸送が可能となります。

まとめ

物流業界において、2024年問題が走行距離へ与える影響は大きく、走行距離の減少が危惧されています。物流は生活のインフラであり、一般の人々の生活に良くない影響が及んでしまう可能性もあります。物流業界が一体となり、解決に向けて対策に取り組んでいきましょう。

一企業としては、物流業務と関連して、倉庫運営の見直しも重要な対策の一つです。近年、より効率的な倉庫運営の手段として「テント倉庫」の建築を選択する会社が増えています。テント倉庫とは、鉄骨を組み立ててシート膜を張った建築物のこと。主に以下のようなメリットがあります。

  • 低コスト
  • 短期工事
  • 十分な耐久性・耐候性

テント倉庫は耐候性に優れており、日中は照明が不要なほど倉庫内を明るく保つことが可能です。先進的なメーカーや物流業でも多数導入されており、より効率的な倉庫運営・物流事業への展開が期待できるでしょう。

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