東亜建設工業と共同開発した「シート製減揺タンク」を初めて現場導入

伏木富山港のケーソン工事にて、浮遊時の動揺低減と施工省力化を実証

大型膜面構造物(テント構造物)や土木・物流資材などを手がける太陽工業株式会社(東京本社:東京都世田谷区、大阪本社:大阪市淀川区、代表取締役社長:能村 祐己、以下「太陽工業」)は、東亜建設工業株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:早川 毅、以下「東亜建設工業」)と共同で研究開発を進めてきた「シート製減揺タンク」を、国土交通省北陸地方整備局管轄の伏木富山港富山地区岸壁工事において、2025年10月に初めて現場導入しました。

本技術は、えい航中の浮遊ケーソンの動揺を抑制するもので、太陽工業の膜構造技術を応用した「シート製減揺タンク」の採用により、従来の鋼製タンクと比較して大幅な施工性の向上を実現しました。太陽工業では、本プロジェクトで得られた知見をもとに、膜構造技術を用いた海洋土木分野へのソリューション提供を加速させます。

伏木富山港での技術導入状況

減揺タンクによる
浮遊ケーソン動揺低減の原理

減揺タンクの配置例

開発協力の背景と太陽工業の役割

近年、日本国内の港湾施設において、海上輸送の需要増加と貨物船の大型化等に対応するための国際物流ターミナルの整備や、防災・減災を目的とした津波対策等の観点から、防波堤の新設や延伸が進められています。外洋に面した海域では、ケーソンが大型化することから、ケーソン式の防波堤や岸壁を築造する際には、巨大な起重機船を用いず、ケーソンを浮かべて施工場所まで小型の船舶でえい航して据え付ける方法が多く採用されています。しかし、波浪条件によってはこの浮遊ケーソンが大きく動揺するため、ケーソン上の作業員の安全性が懸念されたり、ケーソン据付の作業工程が制限を受けることで、作業船等の工事に必要な機材が長い期間拘束されたりする課題がありました。

東亜建設工業は、これらの課題を解決するため、国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所港湾空港技術研究所の革新的社会資本整備研究開発推進事業を活用し、「減揺タンクによる浮遊ケーソンの動揺低減技術の研究開発」に取り組んできました。

この「減揺タンクによる動揺低減技術」において、従来は鋼製のタンクが使用されてきましたが、今回、太陽工業が長年培ってきた膜構造の設計・加工技術を活かし「シート製減揺タンク」を共同で開発しました。

現場導入(伏木富山港)における成果

今回、本技術を「令和6年度 伏木富山港(富山地区)岸壁(-10m)(2号)(改良)築造工事(その2)」での創意工夫として現場に導入しました。伏木富山港の新湊地区から富山地区へのケーソンえい航において、「シート製減揺タンク」を初めて搭載した結果、以下の成果を確認しました。

① 動揺低減効果:起重機船による吊りえい航の効果に加え、さらにROLL(横揺れ)およびPITCH(縦揺れ)を約20%低減。

② 施工の省力化:シート素材の特性を活かし、タンクの設置および撤去作業の大幅な効率化を達成。

③ 安全性の寄与:動揺が抑制されたことで、えい航から据付、中詰め投入までの一連の工程を安全かつ円滑に完遂。

今後の展望

太陽工業は、本プロジェクトで得られた知見をもとに、膜構造技術を用いた海洋土木分野へのソリューション提供を加速させます。特に長距離えい航や大型ケーソン施工が予想される港湾工事において、東亜建設工業をはじめとするパートナー企業と共に、工事の安全性向上と工期短縮、社会インフラ整備の生産性向上に貢献してまいります。

太陽工業株式会社について

太陽工業は、創業100年を超える大型膜面構造物のリーディングカンパニーです。1970年日本万国博覧会ではアメリカ館において、空気圧のみで屋根を支える低ライズ(高さを抑えた)方式の空気膜構造を世界で初めて実現しました。その後も東京ドームの膜屋根取り付けや世界最大級のドーム施設であるロンドンのミレニアム・ドーム(現:The O2 Arena)など、世界各地の大型プロジェクトに参画。さらに2025年の大阪・関西万博では20以上のパビリオンと施設に携わり、万博会場づくりを支えました。経済性、施工性、透光性、デザイン性に優れた膜構造技術を核に、建築事業をはじめ、土木、物流、環境分野へと事業を展開し社会の安全・安心を支えています。
イベントコンサルティングを手がけるTSP太陽株式会社、施設運営を担うアクティオ株式会社などのグループ会社とともに、「世界を、やわらかく。未来を、あたたかく。」を掲げ、社会に新しい価値を提供していきます。

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