太陽工業コラム

近年、梅雨期になると「記録的短時間大雨」という気象防災速報を見かけることが増えてきました。局地的・短時間に発生する大雨は、河川に悪影響を及ぼすことがあります。水位の急上昇や越水など、状況が短時間で変わる中、河川管理の現場や水防活動を担う現場では迅速な対応が求められることになります。そうした状況の中で、「どのような事前対策が必要か」「出水後にどう対応するか」といった点を悩まれている皆さまも多いのではないでしょうか。
現場の状況に応じた河川インフラの水害対策のご相談を承っています。
近年の豪雨から見えてきたこと
ここ数年の梅雨期を振り返ると、各地で河川の増水や氾濫が繰り返し発生しています。
例えば、
- 2020年の令和2年7月豪雨では熊本県の球磨川をはじめ複数の一級河川で氾濫
- 2022年には前線による記録的な大雨により、山形県の最上川が越水・氾濫
- 2023年の梅雨期でも線状降水帯の発生に伴い筑後川水系が出水被害
といったように、地域を問わず同様の被害が発生しています。いずれも短時間で水位が上昇し、堤防の土砂が削り取られたり、水が堤防を越えて住宅地が浸水するといった被害が発生しています。現場では対策の必要性は認識されている一方で、工期やコスト、施工条件などから、対応箇所を絞って進めざるを得ない場面もあるのが実情ではないでしょうか。
現場で課題となっている省力化・省人化への対応
加えて、近年は人員確保や作業時間の確保が難しくなっており、出水時には限られた人数で対応せざるを得ない状況が生じています。こうした状況を踏まえ、従来のように人手をかけるだけでなく、施工性や作業効率を考慮した資材の活用が求められています。
例えば、
- 少人数でも設置可能な仮設資材
- 重機や型枠を使わずに施工できる材料
- 短時間で展開・設置が可能な水防資材
など、現場条件に応じた対応が取られています。
現場で採用されている対策例
堤防の越水に備えた法面保護の一例
近年の出水では、堤防を越水した際に裏法面が侵食され、そのまま破堤につながるケースが見られています。秋田河川国道事務所管轄の子吉川水系石沢川の復旧工事では、経済的で早期復旧が可能な透気防水シート「ブリーザブルシート®」による越流対策工が実施されました。(越流対策工としてブリーザブルシート®が全国で初めて採用・設置されました。)

ブリーザブルシート®は、防水性と透気性をもつ透気防水性シートとその両面を保護する保護マットで構成された三層一体型のシートで、堤体への雨水の浸透や河川水位上昇による浸透を抑制し(防水効果)、また堤防内の間隙空気圧の上昇を抑え(透気効果)、さらには越水による侵食を防ぐ保護効果があり、より粘り強い堤防構造となります。

令和元年東日本台風を踏まえ、国土交通省が関係業界団体・民間企業等と連携し、越水した場合でも決壊しにくく、堤防が決壊するまでの時間を少しでも長くするなどの減災効果を有する「粘り強い河川堤防」の技術開発に取り組んでいます。令和5年に技術公募が実施され、提案された技術に対し第三者機関が評価を行いました。その結果、ブリーザブルシート®は「分類B」と評価されました。
※「分類A」はないため、「分類B」は現状評価で最高評価となります。
仮設堤防・土留めとしての応急対応の一例
出水や被災直後の現場では、まず被害の拡大を抑えるために、土砂を用いた仮設的な保護が行われます。例えば、鹿児島県の高須川では、河岸部の保護を目的として、太陽工業の耐候性大型土のう「マックスバッグ(MXB-3 タイプ)」を段積みに設置する対策が実施されました。

マックスバッグ(MXB-3 タイプ)は最大充填質量2,000kgの耐候性大型土のうで、紫外線に対する耐候性を有し、長期仮設(最長3年)として一定期間設置した後でも撤去・移動が可能で、状況に応じて再配置に活用することができます。また、施工の際に特殊な専門工や熟練工を必要とせず、「耐候性大型土のう積層工法」設計・施工マニュアル[第2回改訂版]令和5年5月規定(一般財団法人土木研究センター)の性能に適合しています。(土研セ土耐性 第2534号)
堤防の暫定嵩上げとしての応急対策の一例
出水時の水位上昇に対して、既設堤防の高さだけでは対応が難しい場合、暫定的に嵩上げを行う対応が取られることがあります。例えば、不老川緊急治水対策工事では、河川堤防の暫定的な嵩上げを目的として、太陽工業の連続箱型鋼製枠「マックスウォール®」が採用されました。

マックスウォール®は、亜鉛メッキ鉄線を溶接したメッシュのカゴ(鋼製枠)を連結し、カゴの内側に充填材こぼれ出し防止の不織布などを張った構造で、簡単に展開・連結して現地発生土砂等を充填設置することが可能です。また、堤防嵩上げの現場では、鋼製枠が連結されているので一体性が強く、結束ベルト補強した大型土のうと比較して安定性が高い構造で、土堤や土留め壁が構築できます。
応急復旧後の土のう被覆による転倒・流失対策の一例
災害発生直後には、大型土のうなどによる応急復旧が行われます。ただし、流水により大型土のうが転倒・流失する可能性があるため、大型土のう被覆工事が必要となる場合があります。例えば、令和6年度 奥能登豪雨 塚田川緊急復旧工事では、耐候性大型土のうの被覆に「コンクリートキャンバス®」が採用されました。

コンクリートキャンバス®は、特殊配合のドライコンクリートを立体織物に封入したマットです。現場で敷設し、散水し浸漬することにより数時間で硬化するため、型枠や練混ぜ作業は不要です。
その特性から、河川や道路などの法面の侵食対策や防草、水路のライニング、既設構造物(水路や護岸など)の補修など、施工条件に制約のあるさまざまな現場で活用されています。加えて、災害時の応急復旧など迅速な対応が求められる場面に適しており、その簡便性と即応性を発揮します。
太陽工業の河川インフラ水害対策ソリューション

散水・浸漬により硬化するジオシンセティックセメント複合マット(GCCM)
「コンクリートキャンバス®」
NETIS登録番号:CG-220009-VE
令和8年NETIS推奨技術:国土交通省選定
コンクリートキャンバス®は特殊配合のドライコンクリートを立体織物に封入したマットです。現場で敷設し、散水し浸漬することにより数時間で硬化するため、型枠や練混ぜ作業は不要です。国土交通省 NETISにおいて、現場での実績と高い評価の積み重ねにより、令和8年度 NETIS推奨技術として選定されました。

河川堤防用透気防水シート
「ブリーザブルシート®」
粘り強い河川堤防に関する技術:分類B
水の浸入を防ぎ、空気の透気性に優れた防水シートであり、河川堤防法面に敷設することで、雨水の浸透や河川水位上昇に伴う浸透を抑制するとともに(防水効果)、堤防内の間隙空気圧の上昇を抑制し(透気効果)、さらに越水時の侵食を防ぐ保護効果があり、堤防の粘り強い構造の形成に寄与します。

連続箱型鋼製枠
「マックスウォール®」
長期間にわたる仮設工、本設工のための仮設資材、災害時における本復旧までの応急対策や、防災用備蓄資材として適用できる連続した箱型鋼製枠で、簡単に展開・連結して現地発生土砂等を充填設置することが可能です。鋼製枠で構成されているため耐久性が高く、長期間の仮設にもご使用いただけます。

耐候性大型土のう
「マックスバッグ(MXB-3 タイプ)」
迅速・簡単に設置が可能な大型土のうで、河川・道路などの緊急を要する災害復旧や仮設工事などで、紫外線劣化に対する耐久性を有し、長期仮設(3年)として一定期間設置後でも撤去・移動が可能で、状況に応じて再配置に活用することができます。

可搬式特殊堤防
「デルタチューブ®(三角水のう)」
堤防上に敷設し、水を充填することで越水を抑える水防資材です。従来の土のう積みと比較して、設置時間を大幅に短縮できるため、短時間での対応が求められる場面で使用されます。軽量でコンパクトに保管でき、必要なタイミングで展開可能です。
具体的な導入検討やご相談にも対応しています。






